カリフォルニアの地に降り立った時代
彼の生涯からシエラネバダという地を切り離すことはできません。彼はシエラネバダの山の虜になり、この山が織り成す美しい植物群や渓谷の威容、それらが原動力となり自然保護活動に繋がったのだと思います。このシエラネバダにあるヨセミテ渓谷との出会いは放浪の道中、友人から見せてもらったパンフレットだったようです。
「一度目にしてみたい」
そう思った彼は1868年にカリフォルニアの地を踏みます。この時代は、アメリカ合衆国という大きな単位でみるとカリフォルニアというのは西の果てのフロンティアだったんです。サンフランシスコにおいては文頭にお話したゴールドラッシュにより1850年に3万5千人、ミューアが到着した68年に15万人になっています。この頃ロスアンゼルスで5千人という時代ですから驚きです。
その1年後、1869年には大陸横断鉄道が完成し太平洋と大西洋が1本の鉄道でつながりました。こうしてカリフォルニアがアメリカ合衆国の中枢に引き寄せられる。これによってアメリカ経済の目線というのが広がるんですね。いわゆる鉄路の先にあるアジア・オセアニアまで広がるんです。この1869年は日本では何が起きていたのでしょう? そう明治維新の翌年というこちらも波乱万丈な時代だったわけです。
ジョン・ミューアはサンフランシスコで「もうすぐ鉄道が開通する」という商業主義に塗り固められた町の中にいて強い憎悪を感じていたようです。逃げるようにオークランドの地を踏み、その後ヨセミテ渓谷へ向かったという事です。
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