2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年10月25日

 バランスのとれた意見であると言えるでしょう。しかし、何をなすべきかについては弱いと言わざるを得ません。「自らの国民に対して、対立を回避し、協力を追求するという戦略的な意図を明らかにすることに努めなければならない」と言っているだけです。最後はキッシンジャーのco-evolution に逃げ込んでいます。そして「どちらがより国内問題を上手く処理し、国民を満足させられるかというのが最も意味のある競争である」ということで締めくくっています。これが、中国の国際協調派の限界でしょう。

中国側とのすりあわせ

 米中の戦略的対立が、ますますルール作りに集約されているという判断は正しいです。現状は、それぞれが自分の意見の言いっ放しで終わっています。中国は、どこをどう変えたいと思っているのか整理して、国際社会に自分の考えを問う必要があります。中国自体が未整理の部分も多くあります。例えば国有企業について、国有企業改革はほとんど進んでおらず、むしろ大型合併を進め、寡占化が進んでいます。それは「市場に資源配分の決定的役割を与える」という党の決定との整合性の面で疑問符がつきます。国際社会としては、具体的事項についてすりあわせを行うことで、中国の真意を探ることが不可欠になりました。

 習近平は、ようやく人民解放軍をほぼ掌握できたようです。対日関係を含む対外関係は、少しは落ち着いてくるでしょう。来秋の中国共産党の党大会後には、中国側との「すりあわせ」ももっと意味のあるものとなるでしょう。

  
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