2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月24日

 マスコミの通例として、自分の論点を際立たせるために、それに合った事実だけを集めている嫌いはありますが、一面の真理を突いている社説です。確かに鉄鋼業をとっても大企業同士の合併を進めているくらいで、結果を出すのに苦戦しています。

 しかし、習近平の目下の最大の関心は、自分の意向に沿って動く党に再建することにあります。共産党は、伝統的に、まず上を変え、それを下に及ぼします。習は、まだ中央委員レベル(大臣・省長クラス)の掌握にとどまっています。同時に、地方の書記、省長の責任制を強化しています。ここに地方の権力を集中させて地方を統治しようとしています。中央の意向に沿わなければ、ここを替えれば良いわけです。そのためには、権力が必要です。習は、その力を持つ必要があります。

 また、何度も指摘したように、反腐敗は「党建設」と呼ばれ、「法治」と並んでルール通りに動く党を作る努力の一環でもあります。これは着々と進め、放棄する気配は一切ありません。
それでも地方の末端まで党中央の意向通りに動くようにすることは至難の業です。だから、権力をさらに集中させ、じっくり時間をかけざるを得ません。習は、一族郎党の身の安全のためにも権力の完全掌握に成功しないと辞められませんが、トップに権力が集中しないと、そういう効率的な党になれないという事情もあります。これは、習近平政権を長期に続ける大義名分にもなり得ます。

  
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