WEDGE REPORT

2016年12月6日

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空気が読めない

 将軍のもう一つの特徴は、国家が直面する戦略的な問題に対して「空気が読めない」ということのようだ。同紙によると、将軍がそうした一面を見せたのが2014年のロシアによるクリミア併合だった。

 オバマ政権が戦後の秩序を変える蛮行として、ロシアへの制裁を科すかどうか検討している最中に、将軍はロシア軍との情報共有策を強化するため、当初の予定通りモスクワ訪問を実行しようとした。

 また将軍はイスラム過激派の脅威について話合うためロシア軍の情報当局者をワシントンに招請しようと図った。しかしこのいずれも、将軍の上司が却下し、実現にはならなかったが、将軍の国際情勢に関する判断に疑念が高まった。

 将軍の上司の1人だったビッカーズ国防次官は「国防情報局の情報能力強化に集中しなければならないのに、幹部たちと対立して組織をマヒさせた」などと述べ、将軍が職員約2万人の同局で長としての指導力を発揮できなかった点を指摘している。

 フリン将軍にまつわる懸念はこれだけではない。将軍が他の国との情報の共有に積極的なところも問題視されている。中でもアフガニスタンの過激派の情報をパキスタンに漏洩した疑いで軍の調査も受けたこともある。

 国家安全保障問題の補佐官は大統領に24時間のアクセス権を与えられており、ホワイトハウスでは外交や安全保障分野で最も強い影響力を持つ。フリン将軍の一言が世界情勢を大きく変えることにもなりかねない。そうした意味からも政権の“重し”として、外交の担い手である国務長官にはバランスの取れた人物の就任が望ましい。トランプ氏が国務長官人事に時間をかけているのもそうした点を配慮したものと思いたい。

  
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