2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月16日

 トランプの対ロ接近への動きに直截な警鐘を鳴らす社説です。NATOへのコミットメントを求めるとともに、対ロ関係改善は事態の進展がない限り行うべきでなく、全面的対ロ関係改善はすべきでない、対ロ関係のリスクをよく認識せよと主張しています。今の欧州の厳しい対ロ認識が良く出ています。フィナンシャル・タイムズ紙のトランプの対ロ政策、同盟政策に対する猜疑心は根深いものがあります。そもそもフィナンシャル・タイムズ紙やエコノミスト誌は、当初から大統領候補としてのトランプに厳しい評価を書いてきました。フィナンシャル・タイムズ紙は、10月31日付で、クリントンをエンドースする社説まで書いています。

慎重さを求める

 トランプの対ロ関係の行方に対しては、慎重さを求める議論が強くなっています。米国ではマケイン上院議員が既にその旨を発言し、ニューヨークタイムズ紙も11月12日もそうした趣旨の社説を掲げています。

 ロシアとの関係の在り方はグローバル・イシューであり、日本も無関係ではありえません。また、それはちょうど中国がアジアの最大の近隣問題であると同様に、欧州にとっては、ロシアは最大の近隣問題です。その意味で米国、欧州、日本はG7の枠組みを中心に、緊密に協力し、政策協調を維持、同盟政治を管理していくことが重要です。同時にその枠内で個々の国がロシアとの関係を進めていくことも重要です。

 11月10日にフィナンシャル・タイムズ紙は日本の対ロ関係の進展を警戒する社説を掲載しました(12月9日付本欄)。これからプーチンの訪日を含め日ロ関係の季節になりますが、欧州等の反応も注視していくことが肝要です。アジア情勢を含めて対欧州対話を引き続き強化し、日欧協調を維持していくことは、中国をはじめアジアへの対応に当たって必要なことでもあります。

  
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