2024年11月22日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2016年12月31日

 過剰サービス以上に問題なのは、ゼロサムゲームとなっている営業活動です。同じ顧客をターゲットとして各社が勧誘合戦を行っているとすれば、日本全体としての生産性を損ねている事になります。仮に誰も営業活動をしなかったとしても、その顧客は自分からどこかの売り手に出向いて購入する事になるでしょうから、営業活動はマクロ的には何の価値も生み出していないのです。

 以下で、第二、第三の点について、少し詳しく見ていきましょう。

労働力不足は省力化投資を促す

 これまで、日本には失業者が大勢いましたから、企業は安い労働力を容易に用いることができました。機械を導入すれば簡単に出来る仕事でも、アルバイトにやらせた方が安上がりなので、アルバイトを雇っていた会社が多いのです。しかし、労働力不足になりアルバイトの時給も上昇して来ると、そうした会社も機械を導入するようになります。その方が安上がりだからです。

 日本企業は、これまで省力化投資をするインセンティブが乏しかったので、企業はあまり省力化投資をして来ませんでした。従って、いたる所に「少しだけ省力化投資をすれば労働生産性が大幅に改善する」余地が転がっているのです。

労働力不足が一時的ではないから、企業も真剣に対応する

 日本企業のマインドは景気の長期低迷で冷えきっており、多少景気が回復しても「どうせ遠からず不況が来る」と考えて設備投資をしない、という習性が身に付いています。したがって、多少景気が回復しても、なかなか設備投資には踏み切らないのです。

 しかし、今回の労働力不足は、少子高齢化による現役世代人口の減少が主因ですから、容易には反転しないでしょう。今後も、景気が大幅に悪化しない限り労働力不足が続く、という予想が立てば、企業が省力化投資に踏み切る事は容易でしょう。


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