新年のおとそ気分も残る6日の東京株式市場は、トランプ次期米国大統領の「トヨタ自動車がメキシコに工場を建設したら高い関税を課す」というツイッター発言で、一気に冷や水を浴びせられて自動車関連を中心に値下がりが相次いだ。恐れていたトランプリスクが早くも浮上した形で、グローバル投資で生き残りを図ろうとする自動車メーカーにとっては世界戦略の見直しも視野に入れざる状況で、困惑を隠しきれない。
トヨタが反論
6日の株式市場は、5日の大発会で大幅値上がりして好調なスタートを切った市場から打って変わってトランプ発言を材料にして自動車株を中心に値下がりした。前日比較の終値ベースを下げ率でみると、マツダが3.1%、日産自動車が2.2%、ホンダが1.9%、トヨタが1.6%の順だった。この4社はメキシコで自動車生産をしており、自動車メーカーにしてみれば、年末にかけて為替が円安に振れていたので、今年は円安で好業績が期待できるのではないかとみていただけに、年明け早々のトランプショックに見舞われた形だ。
トランプ氏は大統領選挙期間中から、メキシコで自動車生産をするGM(ゼネラルモーターズ)やフォードに対して「恥ずべき行為だ」として厳しく批判してきた。年明けの3日にはフォードが、トランプ次期政権の意向を受けて、メキシコに計画していた新工場の建設を急きょ取りやめ、米ミシガン州に建設すると発表した。
これが遂にトヨタにまで火の粉が及んできたわけで、事態を重視した米国トヨタは早速コメントを発表、「メキシコに新工場を建設しても米国での自動車生産と雇用が減ることはない。メキシコから輸出しているトヨタの自動車台数は最も小さい。トヨタは米国で生産した車を輸出しており、米国の輸出にも貢献している」と反論し、トランプ次期大統領に理解を求めるようだ。「輸出の台数が最も小さい」とコメントしているのは、「どうして輸出台数が最も少ないトヨタをやり玉に挙げたのか理解できない」とも読むことができ、トヨタの混乱ぶりがうかがえる。
トヨタが狙われた理由は定かではないが、世界最大の自動車メーカーに対しても容赦しない姿勢を示すことで、トランプ政権の通商貿易政策の本気度を世界に示したかったのではないだろうか。
トヨタは現在、メキシコではピックアップトラックを生産しており、昨年9月にこの増産を発表していた。これに続いて北米市場をにらんで、メキシコのグアナファト州に「カローラ」を年間20万台生産する新工場を19年から稼働させる計画にしていた。昨年11月に新工場の起工式を終えており当面は建設を続けるようだ。