Wedge REPORT

2017年1月7日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

どこまで介入するか

 仮にNAFTAのルールを見直すことになると、メキシコにとって大打撃になる。トランプ氏が大統領に決まってからメキシコの通貨ペソはすでに10%も急落、中央銀行が利上げをしても下落はおさまっていない。年明けの4日にはフォードの工場建設撤回などを嫌気して1㌦=21ペソまで下落、通貨安に歯止めが掛かっていない。これが原因でメキシコ経済が混乱することになると米国にも悪影響を与えるのは必定で、新たな混乱の火種になる恐れがある。この間隙を狙って太平洋への出口を探している中国がメキシコに手を差し伸べたりすると、日米関係にも甚大な影響を与えることになる。

 昨年末にかけて、トランプ政権のプラスの面が取り上げられて株価も上昇してきたが、年明け早々から今度はマイナス面がクローズアップされた。これまでに米国政権ではみられなかった大統領本人による民間企業が決めたことに介入してくる姿勢は今後も続きそうで、やり玉に挙がった企業は手を焼くことになる。

 トランプ政権の閣僚に据えたメンバーをみてもトランプ氏と同じ考えの人物を揃えており、貿易・投資に関してはますます「米国第一主義」を貫いてきそうだ。

 米国がこれほどまでに自国の利益を優先した通商・外交政策を展開してくると、WTO(世界貿易機関)や気候変動条約で取り決めた約束がトランプ政権で果たして実行されるかどうか不安になってくる。世界と協調することなく「米国第一主義」を貫こうとすれば、米国への反発が強まる。米国議会も、トランプ政権のあまりにも過激な政策にはブレーキ役をしてくるだろう。ビジネスの世界で成功を収めてきたトランプ氏が世界を敵に回すような愚かな政策を取るとは思えない。20日に大統領に就任してしばらくはトランプ政権の打ち出す政策にくぎ付けになりそうだ。

  
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