2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2017年1月24日

 14年12月、国民戦線はモスクワにある第一チェコ・ロシア銀行から、940万(約11億2600万円)を借り入れた。ルペン党首はプーチンを敬服していることを隠さず、13年のロシア訪問ではロゴジン副首相とナルイシキン下院議長(現・対外情報局長官)と会談した。

 トランプ勝利を受け、ルペン党首は「巨大な動きが世界で進行中だ。政治とメディアのエリートは思い知らされるだろう」と雄叫びを上げた。

 英国のEU離脱を主導した英国独立党(UKIP)のファラージ暫定党首は、クリミア併合が強行された14年3月に、最も尊敬する世界の指導者としてプーチンの名前を挙げ、シリア内戦への対応を「素晴らしい」と持ち上げてみせた。

 ジェームズ前党首(16年9月に就任するも、20日もしないうちに辞任した)もプーチンのナショナリズムを讃えている。

 これらは氷山の一角に過ぎない。

 「愚か者たちのネットワーク」はシンクタンクや大学の討論会、ロシアのニュース専門局RTや情報通信・ラジオ放送局スプートニクへの出演などを通じて世界中に張り巡らされている。

 英紙ガーディアンによると、ロシアのサンクトペテルブルクにはインターネット上にロシアを利する情報を流す「トロール部隊」のビルがある。午前9時から12時間交代で年がら年中、プロパガンダを世界中に流している。月給は4万5000(約7万8500円)。これはロシアの平均月給(3万2000~4万2000)に比べても割高だ。

 フォックスオール所長は言う。「プーチンには、欧州をバラバラにして石油・天然ガスなど資源をテコに一国一国に対して優位に立つ戦略がある。選挙期間中、ロシアへの宥和政策を打ち出したトランプはクレムリンから何らかの影響を受けているのかもしれない」。

 欧州はトランプ政権の外交戦略をびくびくしながら見守っている。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

「欧州 絶望の現場を歩く―広がるBreixtの衝撃」

 イギリス在住のジャーナリストが綿密な取材を重ねて、
 浮き彫りにした欧州の現在。

  ◇木村正人 著
  ◇定価:本体1,300円+税

 書籍紹介のページ 
 購入はこちらから

 


新着記事

»もっと見る