世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月31日

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 この論説は、トランプ新政権の保護主義的な通商政策が、世界貿易に与える悪影響について論じたものです。適切な問題提起です。トランプはTPPを議会に承認を求めて出すことは考えられないし、NAFTAについても再交渉を求めることは確実です。トランプのこういう保護主義的で、多国間合意より二国間合意を優先する姿勢は、世界貿易を縮小させる効果を持つでしょう。

 しかし、いくらトランプでも、WTO脱退にまでは、一度言及したことがありますが、踏み込むことはないだろうと考えてきました。そうであれば、追加関税賦課にもブレーキがかかりますし、米国もWTO紛争解決の仕組みで負け続けるわけにも行かないので、無茶なことをするにも限度があると考えました。この論説は、中国やメキシコに追加の高関税をかけることはありえ、WTO上の義務をないがしろにする危険があると指摘しています。

米中貿易戦争は不可避

 トランプが世界貿易の基盤であるWTOを形骸化するようなことは、日本としては強く反対すべきです。米国はブロック経済が第2次世界大戦の1つの要因と考えて、IMF、世銀、GATTなどを作ったのであり、そういう米国の考え方にはそれなりの根拠があります。この点は日本として強調しておくべきでしょう。

 ただ、米中間の貿易戦争というのは今後ほぼ不可避であり、米中双方とも多くを失うことになるでしょう。中国はより多くのダメージをこうむることになるでしょうが、いずれにせよ、世界第1と第2の経済大国が貿易戦争をして世界経済が良くなることはないでしょう。トランプで米景気は良くなるというのが大方の見通しのようですが、懐疑心をもって見る必要もあるかもしれません。

  
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