2024年7月20日(土)

普天間問題特別鼎談

2010年4月30日

 先ほど言われた、同盟における構造的不備を繕うこともできていたかもしれない。日本の周辺では、安全保障上のある種のショックが起き得るわけで、そんなとき、同盟としてしっかり対応できるようになるためにも、それらの努力こそ重要でした。

 事実、もし日本が自国防衛の能力をもっとしゃんとさせるよう注力するというなら、自衛隊が域外で何もしなくてもかまわない。米国はそれで満足だ、と言った人すらいます。われわれが開いた米国側のワークショップに参加した人です。

マーブル:いま言われたように、民主党が政権を取って最初にやったことのひとつは、海上自衛隊がインド洋で続けていた補給ミッションを打ち切りにすることでした。かわりに、日本自身の自国防衛力を強化しようとか、そういう向きを示唆する何かはありますか?

ローレス:いまの現実ということで言うと、日本にその気はありません。自分自身の防衛力を強化し、同盟の一体性をそれによって強め、また抑止力も高めていくという方向に進みそうな気配はないわけです。ですから、アジア地域やグローバルな場面で安全保障上の義務を少しは意味のある方法で果たそうとする意欲も、日本にはないということです。

 そのかわり、日本政府がいま表に見せているものは不確実性であり、不決定ですよ。しかも国家安全保障戦略を意味のある形でまとめなくてはという切迫感たるや、ほぼ完璧に欠落している。これまで日本には、そういう戦略を形にする政策形成集団というか、「賢人グループ」というか、そういうものがあったのですが、日本政府はその種メカニズムを一切合財棚上げにしてしまいました。

 代わりに日本政府が取り憑かれているのは、過去のことです。例えば安保のパートナー、つまり米国のことですが、ここと結んだ昔の密約を表沙汰にしようというような。――無意味な道です。いま同盟には、こんな脇道で時間を潰している暇はありません。

 今日から顧みれば、かつての日本政府や高級官僚どもは「悪事」を働いたということになるんでしょう。それを白日にさらそうという…。

 日本の安全にちょっかいを出してやろうと思っている国々は、これを見てどう考えますかね。面白い見ものだと思いつつ、一体何のためと首をひねるんじゃないですか。

 つまり日本とは、自分で自分のことを真ん中から隅へ、隅へと押しやることにどうやら満足を感じている国である。日本のご近所さんというのは、いよいよもって複雑になっているし、危険な地域になっているというのに、日本はその中でほとんど意図的にとしか思えないくらい、目をつぶることにしている。――そういう国だと思うでしょうね。私は民主党政府が続いている間、この状況はずっと続き得ると思います。

マーブル:国家安全保障戦略をしっかり立てることができない、とか、自分自身の軍事力を強めることができない、といったことは、憲法9条の制約によるものなのですか。集団的自衛ができない、ということも関わっているのでしょうか。

フィネガン:憲法9条には、1954年に国会で新しい解釈が与えられました。自衛隊はそれでこそ発足できたわけです。この先へ行こうと思ったら、憲法の改正や9条の条文修正が必要です。さもないと、自衛隊に関わる変化は、地位にまつわるものであれ、能力に関するものであれ、それはそれは、大変な政治的努力を必要とします。インド洋ミッションに関して起きたことが、まさしくそれでした。


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