2024年7月18日(木)

普天間問題特別鼎談

2010年4月30日

 さればといって憲法を改正すれば、確かに日本に軍事面でできること、やれないことがはっきりするでしょうが、別の問題がいろいろと持ち上がってくることになるでしょう。近隣諸国が、日本の再軍事化だと捉えるというような…。いずれにせよ、現状を続けることが中長期にわたって国益に最も資すのかどうか、日本はまず自分自身で議論する必要があると思います。

 ただし、集団的自衛の問題は、これは同盟にとっての問題です。日本を守っているのは米国でしょう。その米国をすわというとき自衛隊は守ることができないのだとすると、そんな日本を守ってくれと米国に言うのは筋が違うということになります。

ローレス:ここにあるのは、両国間に横たわってきた根底的な断絶です。かつてはこれに目をつぶる贅沢が許されたと言えるのかもしれない。しかし今日の冷厳なリアリティに鑑みるなら、この持続不能な状況は必ず何とかしなくてはならない。問題は解決される必要があります。

 自分たちのこしらえたものが、同盟とはいうものの、当事国同士手を組んで戦うという可能性をこれほど明示的に許さない仕組みなのだとすると、互いが互いに対して約した義務を見直す必要が出てきます。いろんな制約のもと能力が削減された体制がこのまま続くというなら、防衛義務を、それに合わせた形にしてやらなくてはならなくなる。

トマス:日本防衛という限定的目的に焦点を定め直すことができるなら、集団的自衛の範囲も、それだけ限定的になる――、これで日本の政治指導者たちも集団的自衛ということをもう少し具体的に考えられるようになり、日本国民にとっても理解しやすくなるということです。

3.

マーブル:将来に目を転じましょう。民主党政権登場以来起きたことに照らして、短期的には同盟はどっちの方向へ向かうとお考えですか。

ローレス:短期的、というとき、どのくらいの期間か定義しておくのが有益でしょう。ひとまず、民主党政権の任期である、残り3年と見ておきます。するとこれは、オバマ政権の残存任期と重なることになる。

 この期間、わたしは今の現状が続いていくと見ています。全体としてあっちへふらふら、こっちへふらふら。太平洋の真ん中に、ぽっかり停滞が腰を下ろし、そこでは総じて無風状態だ、というような。そこで米国と日本は、もう何年も前に片付けておくべきだった争点を、ああでもない、こうでもないとやっている。

 こうなったのについては、両国政府双方に責任があります。自民党が権力の座にあったとき結んだ約束事を、ポスト小泉の自民党政権はいずれもきちんと実行しようとしませんでした。

 ここでもし民主党から強いリーダーシップが現れないということになると、――「強い」という意味には、同盟の将来に対して真剣な取り組みをしよう とする意思をもち、国家安全保障のためには国内政治のもろもろは二の次にしようとする意欲を含みますが――、わたしは米国議会と、広い意味での米国政治が、次第にこう感じるようになっていくと思います。

 つまり、日本という国は、自分自身の安全保障にほとんど全く関心を持たない国である。あるいは、機能する同盟がもつ価値に、ほぼ関心ゼロである。それならそれ相応に、仕組みを整え直そうではないか、というように、米国では感じ始めるでしょう。何だ日本ていうのはこれほどぼやーっとして(distracted)、自分自身の国防に目を向けることさえできないような国だったのかという意識が米国で生まれたら、これを覆すのは並大抵のことではないと思います。


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