2022年10月6日(木)

Wedge REPORT

2017年2月13日

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並木裕太 (なみき・ゆうた)

フィールドマネージメント代表取締役

慶應義塾大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。ペンシルバニア大学ウォートン校でMBA取得。2009年にフィールドマネージメントを設立。Jリーグの理事も務める。

 その点、Jリーグは発足当初からリーグビジネスの思想をもって、放映権の一括管理やリーグスポンサーの獲得などを推し進めてきた。英パフォーム社の提供するライブストリーミングサービス「DAZN」との間で、今季から10年間総額約2100億円の放映権契約を締結したことは大きな成果だと言える。

 ただし、欧州の主要リーグと異なるのは、リーグ全体の人気を牽引するようなビッグクラブがないことであり、今般の契約によって増収が見込まれる放映権収入の使途がカギを握ることになるだろう。順位や観客動員数などに応じて傾斜配分したり、外国人枠を撤廃したり、海外選手・監督の招聘活動を活発化するなどして、リーグ主導でビッグクラブを生みだす方向へと徐々に動き始めているところではあるが、先を行く欧州主要リーグに追いつくにはさらなる努力が求められる。

 MLBを改革したバド・セリグ前コミッショナーに代表されるように、リーグを率いるリーダーに優れた経営手腕は不可欠だ。そのことは当然、個別の球団・クラブにも当てはまる。

 仮にあるプロスポーツチームが5億円の臨時収入を得たとする。その使い道として日本でよく見られるのは、海外で実績をもった、ピークを過ぎた選手を助っ人として獲得するケースだ。象徴的な事例としては、2014年、セレッソ大阪が10年の南アフリカワールドカップ得点王、ディエゴ・フォルランを年俸6億円で獲得した。その狙いは、チームの戦力補強という本来的な意義に加え、彼ら見たさに観客が増えることも期待できることだ。

 しかし、経営に対する貢献度は、その継続性と確実性という点で限定的だと言わざるをえない。いずれ話題性は薄れるし、期待したような活躍ができなかった場合はファンの失望感にもつながる。助っ人への投資がその額に見合ったものになるかどうかは、どうしてもバクチ的な側面がある。

年棒6億円でセレッソ大阪に入団したフォルランは「投資ミス」と揶揄された
(写真・AFLOSPORTS)

 欧米のスポーツチームが同じ額の臨時収入を得た時、使い道としてプライオリティが高いのは、優秀なプロ経営者の獲得だ。

 レアルの現在の経営トップはフィオレンティーノ・ペレス会長。同職は選挙によって選出されるためヘッドハンティングされたわけではないが、ペレスは世界的な建設グループ企業「ACS社」のCEOを務める、まさに一流のビジネスマン。実は現在のレアルの隆盛も、彼の経営手腕あってこそなのだ。

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