2022年12月5日(月)

地域再生のキーワード

2017年2月21日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

 「総社市のひとつの文化拠点になりますよ」と伊永さんは笑う。

 実は伊永さん。岡山県主催の「まちアート・マネジメント講座」の企画を受け持つなど、役所や芸術家などに広い人脈を持つ。その人脈がフルに機能している。

 2016年11月11日から23日まで、池上邸あらため「総社アートハウス」で初めての芸術展を開いたのだ。

展示された「鐵と榎忠展」の作品

 「鐵(てつ)と榎忠(えのきちゅう)展」─―。「鉄の廃材を使った芸術で知られる榎忠さんの作品を、邸内に陳列したのである。榎さんと松本さんは若い頃からの友人。伊永さんも長年の知り合いだった。この展覧会、総社市のチラシなどで宣伝しただけだったが、期間中350人以上の人が作品を見に訪れた。

 実は、「鉄」をテーマに選んだのは、作家の榎さんを知っていたから、という話だけではない。

 「この総社は鉄の文化の発祥の地でもあるのです」と伊永さん。総社市のある吉備地方は、古代から「たたら」が行われ、鉄の文化を持ち込んだ鬼・温羅(うら)の末裔である鍛冶師や鋳物師が暮らす鉄の町だったとされる。私たちが良く知る「桃太郎の鬼退治」の鬼は、実はたたら製鉄を行う人々だったのではないか、というのだ。そんな総社と縁の深い「鉄」を、総社アートハウスの口開けの展覧会のモチーフにしたのだ。

 この展覧会を含め、その前後にワークショップなどを開催。「鬼・鐵・忠~鉄をテーマに古代から現代を視るプロジェクト」と名付けたアートイベントに創り上げた。

 その一環として10月には、6世紀の「たたら」製鉄を忠実に再現する試みが総社市内の公園で行われた。たたらの再現を指導した林正実さんは、そんな鋳物師の末裔で、金融機関を定年退職した後、本格的なたたら文化の復興を目指している。その傍ら、総社で16年にわたって「鬼ノ城(きのじょう)塾」という私塾を開いている。全国から芸術に携わる人たちを招いた講演会を主宰しているのだが、そうした芸術家の人脈が総社の「アート拠点」の重要な武器になっている。

「たたら」製鉄ワークショップで作られた鉄

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