「価値外交」はどこに行ってしまったのか
日米首脳会談における共同記者会見で、外国人記者が安倍首相にトランプ大統領が署名したイスラム圏7カ国からの入国一時禁止に関する大統領令について意見を求めました。同首相は「内政問題」としてコメントを回避したのです。一方、米加首脳会談でトルドー首相は、大統領令を「内政問題」としながらも難民受け入れの重要性を強調したのです。
トランプ大統領の大統領令は内政問題ですが、その一方でイスラム圏7カ国からの入国一時禁止はグローバルな争点になっていることも確かです(図表4)。日本が民主主義、自由及び平等といった価値観に基づいた「価値外交」を展開するならば、共同記者会見での質疑応答で全世界の人種、民族及び宗教を含めた文化的多様性の必要性について言及するべきでした。そうしなかった日本は、すでにトランプ大統領の「取引外交」のループに嵌ってしまったのです。
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