2022年12月4日(日)

World Energy Watch

2017年4月19日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

中国には買わせないが有力な買い手は韓国

 中国はWHの原子力技術を導入したものの、全ての技術を入手した訳ではない。昨年米国の原子力技術に関し、エネルギー省の許可なく中国広核集団を援助していたとして逮捕された中国系米国人は、今年1月法廷で有罪を認めている。中国軍関係者による原子力関係技術のハッキング事件なども報告されている。中国は依然として米国の技術を必要としており、WHは中国が買いたい企業だ。

 WHが不調になったのは、米国の原発の建設を請け負っていた企業を、その工事のリスクと共に引き受けてしまったことだが、米国内の市場の先行きもあまり明るくはない。シェール革命により米国内で天然ガス価格が大きく下落し、原子力発電所と天然ガス火力発電所間の競争力が不透明になってきた。原発の投資額は天然ガス火力の5、6倍以上するが、長期間に亘る天然ガス火力との競争が不透明になっており、巨額な投資を行っても回収できないリスクが出てきた。電力会社は原発の着工に躊躇している。図-2は米国の工事中と建設許可を持っている原発を示しているが、許可取得済みの原発が建設を開始するか不透明になってきた。

 東芝がWHを買収した2006年にはシェール革命はまだ起こっていなかった。また、原発ルネッサンスの減速も予想されていなかった。一旦は減速した原発の計画は、北欧、東欧、英国、中国、インドなどで、地球温暖化問題への対処もあり、再度動き出している。そんななかで、中国がWHを買うのはなんとしても阻止する米国政府の意向であり、報道では日米間で協議も行われているとされる。

 いま、最も有力な買い手は、WHより技術導入を行った韓国電力とされている。米国から英国に渡り、日本が保有することになった原発技術が韓国に渡るとすれば、日本企業の凋落を見るようであり残念だが。

  
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