オトナの教養 週末の一冊

2017年5月25日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――ステレオタイプな見方ですが、やはり男性のほうが関心が強いと。男女差があることで問題はないのでしょうか?

坂爪:お互いに性的欲求があまりない夫婦は特に問題ありません。しかし、お互いの性的欲求のギャップが激しい場合に問題となります。先の調査では、60~70代の男性のうち約4割が「相手(妻)の欲求が自分より乏しすぎる」と回答しています。逆に、60代女性の26%、70代女性の11%が「相手(夫)の欲求が自分の欲求より強すぎる」と回答しています。こうしたお互いのギャップを、主に男性は婚外セックスや自慰行為で埋めています。

――婚外セックスというのは愛人などでしょうか?

坂爪:本書で取り上げた中で言えば、そのうちの1つは年配男性と交際したい若い女性を紹介してくれる交際クラブです。ただ、交際クラブは、男性の入会金が5万円~10万円と高価で、富裕層が多いことが特徴です。

――他には性交以外では性風俗があると思いますが、60歳未満お断りのお店があるんですね。

坂爪:大抵の性風俗店は、18歳以上であれば利用できますが、60歳未満お断りと制限しているのは、おそらく全国で唯一そのシニア専用デリヘルのみです。しかし、先の交際クラブにしても、シニア専用デリヘルにしても、一部の経済的に豊かな男性が主な利用者です。

――高齢化社会になると、そういった高齢者にターゲットを絞った風俗店が繁盛すると言う声もありますが、どうお考えですか?

坂爪:さまざまな性風俗の経営者に話を聞く限り、おそらくそうはならないと思います。

 60代になって風俗に通う人は、ずっと真面目に働き、奥さん以外の女性には見向きもしなかったけれども、奥さんに先立たれ、週刊誌などで性風俗店の記事を見て、寂しさを紛らわすために来店する人が多いといいます。60代で風俗デビューする人は少数派だと考えられますから、そこまで繁盛するかという議論には懐疑的です。

――性風俗店に限らず、パートナーに先立たれ、新しい出会いを探している高齢者の方々は、どんな場所で出会いを求めているのでしょうか?

坂爪:年を取るに従い、孤独感や孤立感が深まり、パートナーが欲しいというのは誰でもあることだと思います。

 そういう人たちが集うのが同窓会であったり、中高年向けのバスツアーです。特にこうしたバスツアーは、運営会社も参加者の男女構成を考えていると思われますし、実態としては中高年の出会いや婚活の場になっています。また表面上は旅行ツアーなので参加もしやすく、ツアー中にさまざまな場所をめぐる中で、異性と自然と会話に発展するのも魅力のようです。他にも陶芸や野鳥の観察など趣味の活動を通してというのが多いようです。

――病気などで体を悪くした高齢男性は、性にどんなものを求めるのでしょうか?

坂爪:長年、神経難病を患い手足の不自由な男性に取材することができました。彼が求めているのは、セックスそのものよりも性的なコミュニケーションです。たとえば、女性が自宅を訪問した際に、女性と会話できるだけでリラックスできるということでした。

 必ずしも、全員がセックスそのものを求めているわけではなく、生活の中で普通に性が存在するのを求めているのではないかと思いますし、程度の差はあれ、そこは共通前提としてあると思います。

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