絵画のヒストリア
古今東西の名画をめぐってその成り立ち、画家やモデルの秘話、時代を隔てた作品の流転や社会のなかに立ち上がる物語を、図版と文章を通して描いてゆく。
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絵画のヒストリア⑦
2024/01/28 柴崎信三米国の絵画史なかでは古典的な名作を描いてきたエドワード・ホッパーは、独立から一世紀余りで世界一の経済大国に発展し、大恐慌を経験した米国社会を表出させ、芸術家たちが欧州の歴史と伝統に対する根強い文化的なコンプレックスを持つ様子を見せる。
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絵画のヒストリア⑥
2023/12/30 柴崎信三東京美術学校校長であった岡倉天心の行動原理は、〈美術〉を通して日本の伝統文化を近代国家の仕組みの中の「正統」として位置づけようという「官僚」のそれである。ただ、彼の自己演出の才覚が〈日本〉を世界に示す場面を作ったことも忘れてはなるまい。
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絵画のヒストリア⑤
2023/11/26 柴崎信三レンブラントの代表作「夜警」は、当時のオランダ・アムステルダムが西インド諸島や南米など植民地の富をもたらし、人と資金の流入と新しい技術の発展を促した都市であったことを物語る。チューリップ・バブルと呼ばれる投機ブームでの狂騒も描いている。
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絵画のヒストリア④
2023/10/25 柴崎信三夏目漱石の『虞美人草』の美貌のヒロイン藤尾は、まわりの男たちを翻弄した挙句、わが身の虚栄と驕慢に引き裂かれるようにして頓死する。漱石が門下に「嫌な女」と伝えるほどの存在のモデルは漱石がロンドン留学時の経験が影響している。
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絵画のヒストリア③
2023/10/01 柴崎信三スペインの歴史の暗転を表徴する名画として知られるゴヤの『カルロス4世の家族』。王宮の広間に、国王夫妻とその一族がきらびやかな盛装で立ち並び、観者へ視線を向けているが、登場者たちの表情はどこかぎこちなくこわばって奇妙な静寂に包まれている。
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絵画のヒストリア②
2023/09/03 柴崎信三フランスの英雄・ナポレオンの肖像として有名な「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト」。これを描いたジャック=ルイ・ダヴィッドは、フランス革命の記録画でも知られている。その数奇な運命と出会いとは。
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絵画のヒストリア①
2023/08/05 柴崎信三ヨハネス・フェルメールの名作『真珠の耳飾りの少女』のモデルとなったとも言われる巨匠グイド・レーニが描いたという『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』。多くの作家たちに書き継がれてきた「チェンチ」事件の概要と名画の謎を探っていきたい。
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