2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年7月27日

 6月25日付の台北タイムズは、台湾の現職ないし元政治家の中国訪問が増えていることを批判する社説を掲載しています。要旨は以下の通りです。

(iStock.com/Ingram Publishing/Greens87/chatchaisurakram/kchungtw/lightzaber)
 

 現職ないし元政治家が中国に訪問するのを止めるためには、もっと多くのことをする必要がある。どのような政治家が訪問し、彼らがどのレベルの機密情報にアクセスしているのかという問題がある。

 台湾の政治家は、他のどの国よりも、選挙によって選ばれ、彼らの給与を払っている国民の利益を守る特別な責任を負っている。

 他方で中国は、台湾の外交同盟関係を弱めたりするほか、台湾人を捏造した罪で逮捕したり、国際機関への参加を阻止するなどのイデオロギー上の攻勢を仕掛けている。中国はこの攻勢を、蔡英文総統が1992年コンセンサスと一つの中国原則を認めるまで続けるとしている。

 台湾の政治家による中国訪問は、台湾にどのような影響を及ぼすだろうか。

 数年前に行われた世論調査では、台湾人は両岸関係につき「現状維持」したいとの姿勢を常に示してきた。シンクタンク・台湾ブレイントラストは、先週の世論調査において、国民の9割が国際的な政治的地位の「正常化」を望んでいるとしている。正常化とは、世界各国が台湾を独立国として承認することを意味する。もしそれが両岸関係の「現状維持」の下ではできないのであれば、54%が憲法を書き換え、中華民国というフレームワークを脱する「独立」を支持している。 

 多くの人々がこの方向に向かおうとしているのであれば、なぜ台湾の政治家は中国を訪問し、関係者と面会するのであろうか。一部の当局者は台湾の要望を完全に無視しているように見受けられる。2016年には、僑務委員会の関係者が中国を訪問し、中台統一に関する議論を行った。このような訪問は、中国に抱きこまれている政治家の利益にしかならない。政治家が国民の意に反して行動しているのであれば、納税者からの給与は与えるべきではないのではないか。

出典:Taipei Times ‘Tightening political travel to China’ (June 25, 2017)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2017/06/25/2003673235


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