ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「台湾は潜水艦を必要とする」との社説を4月11日付で掲載し、台湾防衛のために米は潜水艦技術を台湾に供与すべきであると論じています。社説の論旨は次の通りです。
台湾が自前のディーゼル潜水艦を作るとの発表は、防衛産業において懐疑論を呼び起こした。台湾の造船所は圧力に耐える船体を作った経験がなく、台湾防衛産業は近代的潜水艦のハイテクの内部構造(火器統制や推進システムなど)を作るのに苦労するだろう。
台湾が大陸からの侵略を抑止するために潜水艦を必要とすることは間違いない。最良の選択肢はすでに生産ラインを有している国から買うことであるが、中国が売らないよう圧力をかけている。
2001年、ブッシュ政権は台湾のために通常潜水艦を開発・建設すると約束した。しかし、米海軍がこれに反対した。米海軍は原子力潜水艦しか配備していないが、もし米国の会社がディーゼル潜水艦を作ると、米海軍がそれも買うように議会に働きかけをしかねないと恐れた。台湾内でも潜水艦に金をかけすぎとの反対があった。2008年、米国はこの考えを取り下げた。
その後、台湾の防衛状況はもっと悪くなっている。2009年、RAND研究所は大陸からの攻撃があれば、台湾は2-3日で領空の制空権を失うと結論した。
中国は威嚇をレベル・アップしている。蔡英文総統選出後、北京は経済関係を低下させ、統一に向けた話し合いを無期限に拒否するならば、武力を行使するとしている。中国の空母は12月、1月に台湾周辺を回航した。これらの動きは台湾の政治家を刺激した。台湾政府は2018年防衛費を50%増やすと発表した。台湾の防衛予算は、米国が何年も言ってきたGDPの3%になる。
トランプ政権はどんな武器を台湾に売るか決めなければならない。オバマ政権は、台湾への10億ドルの売却をキャンセルしたが、その分を復活させるだけでは足りない。2016年の共和党綱領は、台湾へのディーゼル潜水艦技術の売却を謳っている。台湾で潜水艦を作れば米海軍の反対はなくなる。日本などもこのプロジェクトに貢献するように説得され得る。
台湾は新しい戦闘機など他の武器も必要とする。しかし潜水艦は特に重要である。PLA(人民解放軍)が米国に対し展開している接近拒否戦略を、台湾が中国に対し行いうることになる。
米国が潜水艦技術を台湾に売ることは象徴的意味もある。政治的には、米国の台湾支持強化は、中国に台湾人を威嚇し降参させる戦略を再考させる。これは地域の安定化に役立ち、台湾紛争の危険を減少させる。中国は報復しようが、戦略的利益はコストを上回るだろう。
出典:‘Taiwan Needs Submarines’(Wall Street Journal, April 11, 2017)
https://www.wsj.com/articles/taiwan-needs-submarines-1491954190