共働きと専業主婦家庭の割合が逆転したのは1990年代後半から2000年代前半にかけて。2017年の今、共働き家庭は全体の約3分の2を占める。盛んに議論されてきた「ワーキングマザーの働き方」について、「理想ではなく実状に添って」を考えたいと思った女性たちが集まったのがパワーママプロジェクト。彼女たちが数年をかけてワーママたちにインタビューし、その悩みや工夫から生まれた一冊が『「ワーママ」5年目に読む本』(光文社)だ。「小学1年生になったらお留守番もアリ?」「小学校入学前に最低限教えておくべきことは?」など、ワーママの質問に対する専門家からのアドバイスも豊富に紹介されている。裏テーマは、「ワーママの頭の中を男性たちにもわかってもらうこと」という本書の内容について、パワーママプロジェクトに携わる女性たちに話を聞いた。
高村奈津子さん:パワーママプロジェクトFounder&主宰 IT系広告代理店の広報部部長。子どもは6歳と4歳。
只友真理さん:パワーママプロジェクト 広報 金融機関で広報を務める。子どもは9歳と3歳。
バリキャリとは違う事例も知りたかった
――まず、パワーママプロジェクト起ち上げのきっかけを教えてください。
椿:2013年6月頃に、あるワーキングマザーの会があって、そこで「等身大のワーママの事例ってシェアされてないね」って盛り上がったんです。当時メディアで紹介されるワーママはバリキャリの人が多くて。それはそれでアリだけど、もっと私たちにも等身大で真似できそうなものがあった方がいいなと感じて、自分たちでワーママのインタビューサイトを始めました。それがきっかけです。
――私から見ると、椿さんたち3人もキャリアをしっかり築いて、そのうえで出産も育児も。でも「バリキャリとは違う」というのは、どのあたりなのでしょう?
椿:その頃ニュースサイトなどで取り上げられているのは、大企業の管理職の方とかが多かったんです。「キャリアをキープするためには何かを犠牲にしなければ生き残れない」とか、ちょっと極端な例も多くて。そこまでやらなくても両立できるんじゃないかな、できるはずっていうのが、私たちの世代のちょっと上くらいから始まったと思います。そういうのをシェアしたかったんですね。出産や育児については「母だから○○しないといけない」っていう呪縛がありがちだけれど、今楽しく仕事も育児もしている人たちはどこかでそういう呪縛を乗り越えてやっているので、その事例を紹介したいと思いました。
育休を取れない男性の「呪縛」
――ウェッジの想定メイン読者は男性なので男性についてのお話もお聞きしたいのですが、男性の呪縛っていうのもあると思いますか?
椿:あると思います。
高村:私は第2子出産のときに、夫に育児休暇を取ってほしいって言ったんですね。でもどうしても無理だと言われて。結局本人が取りたがらなかったんです。なぜなのか、ということを言語化して話してはくれなかったけれど。
椿:子育ては女性がしなければいけない、だから自分は働かなければならないとか、育児のために会社を休んだら「それは奥さんの仕事だろ」って言われるとか。それが男性の子育てや家事に関する呪縛、先入観ですよね。