2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年11月1日

 ワシントン・ポスト紙コラムニストのデイヴィッド・フォン・ドレールが、9月29日付け同紙に「我々が無視してきた安全への脅威:テロリストのドローン」との論説を寄せ、テロリストによるドローン利用に警鐘を鳴らしています。論旨は次の通りです。

(iStock.com/mailfo/GlobalP/bazilfoto/Peter_Horvath)

 つい最近までドローンの問題はそれほど注目されていなかったが、ラスムセン国家テロセンター長は9月29日、上院で「これが連邦政府内の専門家グループにとって第1の話題であり、現実の問題である」と述べた。イラクとシリアのイスラム国(IS)の戦闘員は手りゅう弾を落とすように改造されたドローンを使い、米国の特殊部隊を苦しめた。もし彼らがラッカでそれができたのであれば、誰かが同じことをここで行おうとするだろう。

 レイFBI長官は同じ場で、「脅威は差し迫っている。ドローンは簡単に入手でき、簡単に操作でき、阻止や監視は難しい」と述べた。

 米国で売られているドローンのほとんどは小さく短距離しか飛べないもので、貨物の運搬には不適切である。しかし、テロリストは、安価に小さな荷物を運ぶ商業用モデルをインターネットを通じて購入し得る。次に何が起こるか。ほとんど音のしない低空飛行のヘリが小さい爆弾や毒物を運び、金属探知機や障害物、ボディ・ガードを飛び越え、集会などを攻撃するだろう。2015年、ホワイトハウスの庭にドローンが着陸したこともある。

 トランプ政権はこの脅威に目覚め、今年民間のドローンと搭載物が脅威を与える場合には撃ち落とす権限を警察に与えることを含め規制する法案を作った。ドローンを遊びまたは利潤のために飛ばしている人はこの法案に反対している。しかし、文句があれば、アルカイダに言うべきだろう。

 ラスムセンとレイが電波で統制され、GPSで方向指示される小さなドローンについて議会証言をしている時に、バンクーバーでは自動運転飛行機の専門家が集まっていた。電波やGPSに頼らず、自分で地形を判断し、障害物を避け、目的地や標的に行く飛行体である。

 テロ対策専門家にとり、こういうことは心配のもとである。ドローンをレーダーでとらえるのは難しいし、自動飛行体は電波誘導されず、自分で地形判断するので、電波妨害しても意味がない。

 技術については、今日の実験的試みが明日は安価な機械装置になっているということである。今自動運転無人航空機が複雑な戦闘ミッションをこなしているが、この技術は広く安価に手に入るものになるだろう。

 テロリストは機械装置が好きである。彼らは爆弾を携帯電話、ガレージ開閉装置その他で爆発させてきた。彼らが搭載量の大きい飛行体を入手すれば、使うだろう。

 ワシントンはこの脅威に気付くのが遅かったかも知れないがまだ遅すぎたわけではない。

出典:David Von Drehle,‘The security threat we’ve been ignoring: Terrorist drones’(Washington Post, September 29, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-security-threat-were-ignoring-terrorist-drones/2017/09/29/3fbd1374-a51f-11e7-b14f-f41773cd5a14_story.html


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