2024年12月23日(月)

今月の旅指南

2018年1月24日

 臨済宗の中興の祖といわれる江戸時代中期の禅僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)。駿河国原宿(するがのくにはらしゅく)(現静岡県沼津市原)に生まれ、同地の松蔭寺で出家し、諸国行脚の後に再び松蔭寺に戻り、84歳で没した。白隠にとってゆかりの深い静岡で、その書画を集めた展覧会が開催される。

静岡県指定文化財 白隠慧鶴 《達磨図》
明和4年(1767) 清見寺蔵

 会場には松蔭寺をはじめ、高林寺(静岡市駿河区)や龍津(りょうしん)寺、大乗寺、清見(せいけん)寺、禅叢(ぜんそう)寺(すべて静岡市清水区)など静岡県内の寺院に伝わる白隠作品を中心に、1
35件がそろう。

 大きな蛤(はまぐり)の中から現れた観音像を描いた大作「蛤蜊(こうり)観音」(禅叢寺蔵)が約40年ぶりに展示されるほか、聖徳太子が片岡山(奈良県)で会った達磨の姿を描いた「片岡山達磨」(大乗寺蔵)が初公開されるなど、見どころが多い。また、白隠の没後に制作された、最晩年の姿を表した「白隠像(木像)」(松蔭寺蔵)なども興味深い。

 白隠が生涯で最も多く描いたのが禅宗の開祖、達磨大師の像だ。本展では、35歳で描いたものから、83歳のときの「達磨図」(清見寺蔵)まで、さまざまな達磨作品が展示されるので、その変遷をたどるのも楽しい。

 ゆかりの地、静岡を舞台にした白隠の展覧会は、このあと5月に展示構成を変えて佐野美術館(三島市)でも開催される。

●白隠禅師250年遠諱記念展 駿河の白隠さん
 <開催日>2018年2月10日~3月25日

 <開催場所>静岡市葵区・静岡市美術館(東海道新幹線静岡駅下車)
   <問>☎054-273-1515

   URL:http://shizubi.jp/index.php

*情報は2017年12月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2018年2月号より


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