2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年12月24日

 答えは明らかにノーだ。これは断言しても良いが、今後もし、熱狂する民意に煽られた権力が共産党に代わって――というのも現状では現実的な話ではないが――中国に現出したとしよう。そのとき新生の中国が日本に見せる顔は、共産党がしっかりグリップしていたころよりさらに顔を持つ国になるはずだ。そして多くの日本人は、「共産党が強かった中国には問題が多かった。しかし、最悪ではなかった」ことを思い知るはずだ。

 07年、私は拙著『中国という大難』のなかで、「対中投資を膨らませて中国大陸に資産を築いた日本は、いずれ中国が抱える国内問題に巻き込まれることは避けられず、日本自身が中国の国内問題と直接向き合わざるを得なくなる」という主旨のことを書いた。

 それは中国の中に眠る絶望的な〝飢餓〟が表の顔として中国を動かし始めることだ。早ければ来年にもその「荒ぶる中国」が姿を見せる兆候が現れるかもしれないが、その第一のカギを握っているのは、共産党が物価上昇をコントロールできる否かにかかっているだろう。

 

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信社外信部記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
◆更新 : 毎週水曜


 


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