この熱き人々

2018年5月22日

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 「長時間の重労働、休みもなくて、給料が安い」からと、料理の世界に入ることに反対した父親の言葉を引きずってきたという。父の言った通りだったと何度も感じては、経営の在り方を模索してきた。

 「この職業の在り方が問われていると思っています。それをどう乗り越えてこの文化を守り先に進めるか。父に、違うという証明をしたいんです」

 今年は開店10周年。人が食べるということは何なのだろうという根源的なテーマを掲げて、最先端の技術を駆使し、まだこの世界にないものを日々生み出したいと語る。

 「植物が必須アミノ酸を捕食したことで動物への進化が促されたように、環境の変化と食の変化が進化に影響を及ぼしていると思うんです。この先、環境を劇的に変える要素は宇宙じゃないかな。地球の料理人が宇宙に行って、地球ではできなかった新しいガストロノミーをやりたいですね」

 進化し続けてきた米田が、遠く宇宙も視野に入れつつ、人類の進化を皿の上にどう表現するのか。あまりにテーマが大きすぎて見当もつかない。が、宇宙は無理でも、米田の描く人類の根源を感じに大阪に行くことは頑張れば可能かも……と、心が動き出す自分がいる。理路整然としているのに、どこか弾(はじ)けている、米田の引力は強力なのである。  

よねだ はじめ◉1972年、大阪府生まれ。電子部品メーカー勤務を経て料理の道へ。日本とフランスで経験を積み、2008年「Hajime RESTAURANT GASTRONOMI-
QUE OSAKA JAPON」を開店、翌年ミシュラン史上最短で三ツ星を獲得。12年、店名を「HAJIME」に改め、新たな料理の可能性を追求している。

岡本隆史=写真

  
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◆「ひととき」2018年5月号より

 



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