海野素央の Love Trumps Hate

2018年5月7日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

リーダーの年齢差

 南北首脳会談では、65歳の文大統領は34歳と伝えられている金委員長に敬意を払い、北朝鮮の人民の自尊心を傷つけないように、対等な関係を演出しました。金氏も軍事境界線を越えて韓国側に入ると、今度は文氏を北朝鮮側に招いて、「南北問題を歩調を合わせて解決する」というメッセージを発信しました。南北首脳会談で両首脳は双方に対する敬意と対等の意識によって年齢差を乗り越えたといってよいでしょう。

 では、米朝首脳会談で71歳のトランプ大統領は37歳年下の金氏に対して敬意を持って対等な目線で接することができるのでしょうか。

 トランプ氏とマクロン仏大統領の関係を参考にしてみましょう。ホワイトハウスを4月下旬に訪問したマクロン氏は40歳で、トランプ氏と31歳の年齢差があります。文・金両首脳の年齢差と同じです。

 ホワイトハウスの記者団の前に現れたトランプ氏は、マクロン氏のスーツについたほこりを何回も払い落しました。仏メディアはこの動作を取り上げて、「親しみやすさをアピールしたともいえるが侮辱ともとれる」と報じました。

 筆者がこの映像を見る限り、トランプ氏は父親的な役割を演出していました。長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏や娘婿のジャレッド・クシュナー氏に接するような態度です。

 ただ、トランプ氏が米朝首脳会談で金氏の人民服ないしスーツについたほこりを見つけて同じ動作をとったら、間違いなく北朝鮮は見下した態度と受け止めるでしょう。ましてや、握手の際に金氏の手の甲をポンポンとたたいて「自分がボスだ」「自分に主導権がある」といった敬意と対等を欠いたメッセージを送れば、北朝鮮側に不快感を与えることは確かです。その結果、一気に会談の雰囲気が悪くなる可能性も排除できません。トランプ氏は、文氏の金氏に対する接し方を学習する必要があります。

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