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2018年9月12日

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小川たまか (おがわ・たまか)

フリーライター

1980年東京生まれ。教育、働き方、性暴力などを取材。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(2018年/タバブックス)。Yahoo!個人「小川たまかのたまたま生きてる」(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/)などで執筆。Twitter:@ogawatam

いじめの有無ではなく、いじめへの取り組みの評価を

――いじめ事件が報道されると、いじめを許すなという世論は高まります。しかしその世論がストレートに良い方向へ向かわないのがもどかしいと感じます。

岸田:難しいですよね。法律を作ればそれだけで変わるものでもありません。教育は地方自治、もっといえば学校自治です。「心身に苦痛を与えれば、いじめ」と被害者の視点から定義したいじめ防止対策推進法自体は進んでいると思いますが、学校現場にはその理念がなかなか浸透していない。社会の意識を変えていくこと。そのために、被害側の実態をあらゆる大人が知ることが必要だと思っています。

 学校の評価は生徒の学力で図られがちです。もしくは、いじめがあるかないかで。でも本当は、いじめがあったときにどのような取り組みを行い、解決するか。学校側はそれをアピールしないといけないし、地域の大人たちはその取り組みこそを評価していく。その発想の転換、意識改革が必要だと思います。

――学校のHPなどにいじめ対策は書いてあるのでしょうか。

岸田:いじめ防止対策推進法では、基本方針として学校ごとにいじめ対策を決定しなければならないと義務付けられています。ですから学校のHPには「我が校の取り組み」が書いてある。けれど、たとえば「早期発見に努める」という方針について、どんな取り組みを具体的に行っているのか。絵に描いた餅ではなく、実行されていなければなりません。先生も親も、お互いに遠慮しがちなところもあるのでコミュニケーションを取って。風通しを良くしていくことが、結果的に子どもを救うのではないでしょうか。

自分の子どもが加害者だと気づいたときは

――親が、自分の子どもがいじめの加害者だと気づいたときは、どのように対処すれば良いのでしょうか。

岸田:まず、被害者にも加害者にも誰でもなるものだと思っていてもらいたいです。誰も無関係ではありません。一番難しいのは、加害者本人がやむを得ずいじめに加わり、罪悪感を持っているときの対応です。たとえば、主導的役割の子どもから「無視しないとお前もいじめる」と言われていじめに加わったような場合や、被害を受ける側だったことがあるような場合。

 頭ごなしに「ダメだ」と言ってしまうと、元から傷ついている彼らは家にも居場所がなくなってしまいます。話を聞いて、いじめの加害から抜けられる方法を一緒に考えてあげることが大切です。

 もちろん、はっきりと「ダメだ」と言わなければいけない場合もあります。たとえば、被害者の裸の画像をSNSにアップしたりしているのであれば、「それは犯罪」と教えなければいけません。その上で、「どうしてそんなことをしたの」と、加害行為の背景にある、子どもの心の奥にあるものを、聴き出してあげてほしいと思います。

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