2024年12月23日(月)

ちょっと寄り道うまいもの

2011年7月31日

 朝。

 実をいうと、私の京都の朝は決まっていた。錦市場をぶらつき、「イノダコーヒー」でモーニング。ところが、行くたびにイノダは苦手な行列。という話を飲みながらしていたら、ならばと釆野さんが教えてくれたのが、寺町通の「スマート珈琲店」。戦前からの老舗だが、どちらかというと地元に愛されてきた店。店頭で焙煎されている、その香りをかぎながら、コーヒーにフレンチトースト。いや、ホットケーキもよろしいか。悩ましいところ。

 ご主人の元木茂さんに、ホットケーキやフレンチトーストが新しかった頃の話、美空ひばりをはじめとする昭和のスターたちが、京都太秦(うずまさ)の撮影所から、この店に通った話など聞きながら食べる朝食はまた格別だ。

 ランチが名物で、その時間帯やら週末はこちらも行列が出来ると聞いたが、次回のお楽しみにしよう。ここからは錦も近い。楽しい散歩だ。

朝8時の開店と同時に続々とお客さんが来店する。名物の軽食と自家焙煎のコーヒーを楽しんでから仕事場や観光へ

 ついつい寄ってしまうのが「有次(ありつぐ)」。料理好きにはたまらぬところである。何本、庖丁を仕込んでしまったか。いや、庖丁のみならず、ちょっとした料理道具を探すのが楽しい。京都の食の工夫を、知恵を台所の側から教えてくれる。あら、こんなものがあったか、と。そして、それらのどれもが美しいときている。

風情ある先斗町の一角で、お茶文化を伝える茶香房 長竹。甘味、ご飯ものまで幅広く用意し、巧みな話術で客を楽しませながら、ぴったりの品を供してくれる。この写真もそんな品々。煎茶と白玉のせ宇治氷で涼を味わった

 柚子の皮などおろし金から器に取る、可愛らしい竹の箒のようなこれ、よさそうだ。今回の庖丁は、さて……。向かいの「錦・高倉屋(たかくらや)」あたりで漬物を買うか、昔よく買っていた親父泣かせとかいうご飯の友はどこにあったか。

 歩き回って一休みするのにぴったりのお店が、先斗町(ぽんとちょう)の「茶香房 長竹(ちゃこうぼう ながたけ)」。日本茶、中国茶を美味しく飲ませてくれるところであり、その茶葉を使った甘味も、炒飯などもよろしい。

 暑いさなかには冷たく出した玉露の甘み、旨みは発見の味だし、宇治氷のほかでは知らぬ美味しさも発見に違いない。さて、涼をとるだけにするか、軽くご飯ものでも……。

 生き返ってもう少し、訪ねたいあそこやあそこ、買っておきたいあれやこれやを。


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