百年レストラン 「ひととき」より

2018年10月26日

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 その中で爆発的な人気を得たものがふたつある。ひとつは、卵入りの餡をかけエビフライかトンカツを載せた「龍神」。

 「餡かけは関東で食べてみて気に入ってたんです。それにフライを載せたら面白いだろうと思って。片栗粉でとろみをつけてから卵を入れると、卵がフワーッと広がったうえで固まります。それがコツですね」

龍神1,000円。つゆの醤油は釜あげうどんと同じく、生引き溜まりと薄口醤油のブレンドだが、配合は異なる。蒲郡市「おらがの店じまん」認定品

 上品な味の餡はうどんに絡むだけでなく、フライの味つけにも適している。ボリュームたっぷりでお得な気持ちになれる。

 もうひとつはアサリ入りの「竹島うどん」。

 「アサリは蒲郡の名産品なのに、どこもうどんに入れていませんでした。それを使わない手はないと思ったんです。私は貝が苦手なので、家内に味をみてもらって。景勝・竹島の形を模した器を特注し、アサリが本当に美味しい3月から6月の間だけ提供しています」

 蒲郡商工会議所や市の観光協会は近年、アサリ入りのうどんを「ガマゴリうどん」と称してご当地料理としてアピール。いくつかの大会で優勝し「日本一のご当地うどん」と呼ばれるまでになったが、その発祥店である。

力を込めて捏ねる。うどん打ちは、一廣さんの次男の英和さんが担当している

 一廣さんと敏子さんは、二男一女に恵まれた。長男の広志さんは京都の日本料理店で5年、次男の英和(現姓・藤田)さんは名古屋のうどん店で2年の修業を積んで家に戻った。今は広志さんが出汁や具の調理を、英和さんがうどん打ちを担当する。広志さんが語る。

 「7年前に店主になってから、ベースは守りつつリニューアルもしています。出汁の鰹節はより旨味の強いカビつきのものを使うようにしましたし、季節限定メニューにも力を入れて見直しをはかっています」

 2代目が100年ほど前に編み出した味は、代々進化を続けているのだ。

やをよし
<所在地>愛知県蒲郡市竹島町7−12
(東海道本線・名古屋鉄道蒲郡線蒲郡駅から徒歩約10分)
<営業時間>
11時~14時30分、17時~20時(売り切れ次第終了)
<定休日>月曜(祝日の場合は翌火曜)・第4火曜
<問い合わせ先>☎0533−68−3804

写真・伊藤千晴

  
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◆「ひととき」2018年10月号より

 

 

 

 

 

 

 

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