10月5日、米国大統領府は、「トランプ大統領は、我々の防衛産業基盤を強化するため、重要な措置を取っている。」と題するファクト・シートを発表した。以下、その要点を紹介する。
・ドナルド・トランプ大統領「米国軍の優位を維持するには、我々は常に最前線にいなければならない。」
・米国の軍隊は世界で最高の技術、製造、産業能力によって支えられている。これを確保することを大統領は約束した。
・本日(10月5日)、大統領は、米国の防衛産業基盤を包括的に見直した報告書を受理した。これは、2017年7月に、大統領が、防衛産業基盤とサプライ・チェーンの強靭性を評価し、それを強化する方策を提示するよう命じたことに応じたものである。報告書は、米国防衛産業基盤が抱える約300件のリスクと、その包括的解決策を提示した。
・政府は、今後、産業基盤への直接投資を拡大する。人材育成のため、科学技術、工学数学(STEM)の国内教育を発展させる。合同防衛基盤など、同盟諸国、友好諸国と協力する。
・トランプ政権は、国家の防衛が、新たな、そして予測できない挑戦に対処できるようにする。大国間競争の時代、紛争を抑止する能力は、健全な防衛産業基盤にかかっている。新たな、予測不可能な挑戦に対処するため、国家は、戦闘員にきちんと装備させる能力を有しなければならない。
・この見直し報告書作成には、国防総省、商務、労働、エネルギー、国土安全保障及び他の省庁から300人以上の専門家が係わった。前例のない防衛産業基盤の見直しは、伝統的な造船業から、労働力に関する項目まで多岐にわたった。
・我々が直面するあらゆる脅威から国家を守るための歩みを進める。2017年12月の国家安全保障戦略は、米国の力の不可欠の要素として、健全な産業基盤の重要性を掲げた。国家の安全保障にとって重要な鉄鋼アルミニウムの国内産業を守るため、トランプ大統領はそれらの輸入に関税を課した。最近、トランプ大統領は、テロ、サイバー、バイオに関する新たな戦略を発表した。それらは、我々の防衛を近代化し、安全保障を強化する。
参考:White House ‘President Donald J. Trump Is Taking Important Measures to Strengthen Our Defense Industrial Base’(October 5, 2018)
国家の安全保障を支える一つの要素として、防衛産業基盤は、大変重要なものである。国家を守るには、そのための人、装備が必要である。特に、現代のようなハイテク戦の時代には、技術の性能が勝敗を決めると言っても過言ではない。
米国は、昨年の国家安全保障戦略で明記された防衛産業基盤に関して、詳細な調査を行い、約300のリスクを割り出し、その解決策を提案したとある。日本でも、防衛産業基盤の重要性が言われ、防衛装備庁も新設されたが、政府全体として新たな防衛産業基盤の強化策が実施されたとは言い難い。
米国は、自国の防衛産業基盤の強化のために、同盟諸国等との協力もすると明記されている。日本も、米国の同盟国として、技術協力や共同生産、人的交流などを推進して、日米両国が、互いの能力を高め合って、安全保障に貢献できれば良い。気をつけたいのは、米国に依存するあまり、自国の産業基盤の強化を疎かにしないことである。
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