2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年10月9日

 9月25日、トランプ大統領は国連総会で演説を行った。約35分間の演説内容は、北朝鮮問題、中東問題、難民と中南米問題等、多岐にわたる。その中で貿易を含む経済問題に関わる部分を中心に、要点を紹介する。

(ATINAT_FEI/brgfx/iStock)

・この約2年間、私が政権に就いてから、米国は30兆ドル、富を増やした。株価は史上最高値を更新し、失業率も50年ぶりの低い水準である。アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系のアメリカ人の失業率は史上最低となっている。雇用は、50万人の製造業を含め400万人増えた。我々は、最大の減税を行った。国境の壁建設を開始し、国境の安全保障を強化した。

・防衛予算は、今年7000憶ドル、来年度は7160億ドルを確保した。我々の軍隊はかつてないほど強いものになるだろう。

・貿易は公正で相互的でなければならない。何十年も、米国は自国の経済を開放してきた。世界で最大の経済を、ほとんど無条件で開放してきた。我々は、世界中の国から国境を越えて製品が自由に入ってくるのを許した。しかし、他国は我々が彼らの市場に公正かつ相互的にアクセスすることを許してくれなかった。もっとひどいことに、幾つかの国は、ダンピングしたり、補助金を与えたり、更には、為替操作まで行っている。その結果、我々の貿易赤字は年8000億ドルまで膨れてしまった。このため、我々は悪い貿易取引について再交渉している。先月はメキシコと合意が成立し、昨日は韓国と貿易協定に合意した。これは、ほんの始まりにすぎない。

・世界の貿易システムに変革が必要なことは、多くの国も同意するだろう。米国や多くの諸国がルールに基づいて行動しているのに、幾つかの諸国は国営企業等を利用して、システムの自分達の良いように繕っている。彼らは、ダンピングをしたり、技術移転を強要したり、知的財産を盗んだりしたりする。中国がWTO(世界貿易機関)に加盟してから、米国は、300万人以上の製造業の雇用、鉄鋼業の約四分の一の雇用、そして6万の工場を失った。そして、この20年間で貿易赤字は13兆ドルに膨らんだ。

・しかし、そのような日も終りだ。我々はこれ以上濫用を許さない。米国の労働者が犠牲にあっい、企業が騙され、財産が略奪されることを、もはや許さない。

・米国は、中国製品2000憶ドルに対し追加関税を発表したばかりだ。私は、友人の習近平主席を尊敬しているが、米中間の貿易不均衡が許されないことは明確にしておきたい。中国の歪んだ市場と取引の方法は受け入れがたい。我が政権が示すように、米国は常に国益にそって行動する。


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