手続きを怠らないように気をつけよう
ここで、実際の手続きについて、注意すべき事を挙げておきましょう。上記のように、年金上は身分が3つ(上記の第1号、2号、3号)ありますから、各自がどの身分なのかを把握した上で、身分に変化があった場合は届け出をする必要があるのです。
男性ももちろんですが、特に女性は年金制度上の身分が頻繁に変わる場合がありますから、注意が必要です。
まず、20歳になった時点で正社員になっていれば、2号ですから何も必要ありませんが、大学生だったり非正規労働者だったりして正社員で無かった場合には、1号となりますから、年金保険料を自分で支払わなくてはなりません。もっとも、所得が低くて払えない場合は、免除や学生納付特例を申請できるかも知れませんから、年金事務所に相談してみましょう。
学生の場合は、支払いを待ってもらえるだけなので、届け出をする意味はない(黙って払わずにいれば良い)と考えている人も多いようですが、届け出を1枚提出するだけで、万が一学生時代に大怪我をした場合に障害基礎年金が受け取れるなどのメリットがありますから、面倒だと思っても届け出をしておきましょう。
なお、学生の場合、保護者の所得が高く、従って比較的所得税率が高い場合には、年金保険料を親に支払ってもらう、という選択肢があります。というのは、保護者が扶養家族の社会保険料を支払った場合、保護者が確定申告をすることで支払った保険料が所得控除になるからです。所得控除ですから、保護者の所得税率(厳密には限界税率)が高い場合は、特に要検討です。
ちなみに、国民年金保険料を保護者に払ってもらった代わりに授業料の一部は自分で負担する、といったことも要検討ですね。家庭内の金銭授受については筆者のあずかり知らぬことですが(笑)。
女性が大学を出て就職し、正社員になるとします。その時は会社が届け出をしてくれるので何も要りませんが、結婚退職あるいは出産退職をして専業主婦になった場合は自分で身分の変更を届け出ないといけません。年金事務所は、以前の勤務先から「もう我が社の社員ではない」という連絡を受けるだけなので、「彼女は1号なのだろう」と考えているわけです。「私は3号ですから、保険料は払いませんが、よろしく」という届けが必要なのです。
2002年度からは、夫が勤務先に「結婚して、妻を扶養しています」と申告すると、年金事務所に情報が行くようになったので、問題は少ないと思いますが、それ以前に専業主婦となった方は、届け出が漏れている可能性がありますので、「ねんきん定期便」などで自分の年金記録を確認してみましょう。
自分の退職ならば、届けが必要な事に気づく場合も多いでしょうが、問題は夫の退職です。夫が退職して自営業者や失業者になると、妻は3号から1号になるので、専業主婦に年金保険料の支払い義務が生じます。
夫がリストラされた、夫と離婚した、死別した、といった時に届け出をして年金保険料を払いに行くのは大変辛いことですが、きちんと届け出をしましょう。保険料が免除される可能性もありますので、相談してみましょう。
ちなみに、夫がリストラされたことを妻に黙っていると、年金事務所から保険料の納付書が届いて妻にリストラされたことがバレるのが落ちでしょうから、気をつけましょう(笑)。
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