中東を読み解く

2018年11月6日

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焦りの暗殺計画

 米国の制裁を前に、デンマークの治安当局は10月30日、イランの情報機関員がアラブ系反体制派組織のイラン人の暗殺を図った、としてイラン系ノルウェー人を逮捕したことを明らかにした。この反体制派グループは「アフワズ解放アラブ闘争運動」と呼ばれる組織で、イランからのアラブ系住民の独立を主張し、コペンハーゲンから約60キロの町に拠点を構えている。

 イラン南西部アフワズでは9月22日、革命防衛隊の軍事パレードが武装グループの攻撃を受けて25人が死亡するテロ事件が発生。イランはこの組織が首謀者とみて、デンマークがテロリストを野放しにしていると非難。デンマークもノルウェー人逮捕後にイラン大使を呼んで、国家テロとして指弾した。

 イランが暗殺未遂事件に関与していたかどうかは不明だが、革命防衛隊はテロの報復を宣言しており、中東の専門家は米制裁に追い詰められている焦りが暗殺未遂事件という形で出たのではないかと受け止めている。欧州各国は米国に核合意を破棄されたイランに同情的だが、今回の事件はそうした欧州の雰囲気に水を差すものだ。

 対イラン制裁をめぐってはすでに世界の原油の供給に影響が出始めている。日本の輸入原油に占めるイラン産原油の割合は5%に過ぎない上、10月から輸入停止状態にある。この穴はサウジアラビアなどからの輸入で埋められる見通しだが、レギュラーガソリン価格が1リットル160円台をつけるなど私たちの日常生活を直撃し始めている。遠い出来事のようだが、イラン制裁は日本人にとって身近な話なのだ。

  
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