11月9日、ワシントンで米中外交・安保閣僚対話が行われた。出席者は、米側から、ポンペオ国務長官、マティス国防長官、中国側カウンターパートは、楊潔篪政治局員(中央外事工作委員会弁公室主任)、魏鳳和・国務委員兼国防相である。共同記者会見での各人の発言の、南シナ海、台湾、新疆ウイグルに関する主要点(質疑応答での発言を含む)は、次の通り。
ポンペオ国務長官
・米国は、南シナ海における中国の軍事化につき懸念している。中国側には過去の約束(注:2015年に習近平は南シナ海を軍事化しないと約束)を守るよう求める。
・米国と台湾の関係は引き続き強固である。中国が台湾の国際社会における生存空間を圧迫しようとしていることに懸念を表明する。
・中国による宗教団体の弾圧に懸念を表明する。ウイグル族弾圧への懸念を伝達、人権の尊重を求めた。
・中国との冷戦、封じ込めを望んではいない。
楊潔篪政治局員
・中国は世界平和に貢献し、国際秩序を守る。米国とともに、アジア太平洋、その他の地域の平和、安定、繁栄に貢献する。
・「一つの中国」政策は米中関係の政治的基礎をなす。米国に対し、「一つの中国」政策と、3つのコミュニケ(注:1972年、1979年、1982年。いずれも米側は、台湾が中国の一部であるとの中国の主張を「認識(acknowledge)」)を守るよう求める。
・南シナ海の施設建設は、そのほとんどが民間用だが、外部からの脅威に対抗する施設も必要である。自衛の権利は国際法上認められたものであり、自衛のための施設建設は合法的行為である。
・新疆ウイグルの問題は内政問題である。分離主義者によるテロ犯罪への対処をしている。米国は内政干渉すべきではない。
マティス国防長官
・南シナ海をめぐる紛争は、国際法に基づく平和的な解決を望む。国際法上許される限り、米軍は、飛行、航行、軍事活動を継続する。
・米国の「開かれたインド太平洋」への支持は不変。米中の軍事協力を模索するが、それには両国の透明なコミュニケーションが前提となる。