――そのような性教育の授業は、実際にはどのように行われているのですか?
プラド夏樹:基本的には子どもたちに「なんでも聞きたいこと聞いていいよ」というスタンスで質問させるようです。でも、そうすると、おとなもタジタジのスゴイ質問も出てくるので、性教育の講師は学校教師ではなくて医師や看護師、あるいはプランニング・ファミリアルの職員が担当します。そういう方のほうが、性的な事柄をプロとして話すことができるから、また、成績に関係しないから、子どもたちもリラックスして発言することができます。
質問内容は幼稚園や小学校低学年なら、圧倒的に「赤ちゃんってどうやってできるの?」です。高学年なら「家で自動車工になりたいといったら親に女らしくないからやめなさいと言われたんだけど、女らしさって何ですか?」とか。中学になると、「ポルノ映画で見たんですけど、こんなことしていいんですか?」「セックスするときは20分しなきゃいけないんですか?」という実際の場面に即してどうするか?というような質問。高校生になると、「彼女はイヤって言ったけどそれは本当にはOKという意味なの?」というような性的同意についての質問が多いらしいです。日本でいうところの文科省では年に3回と決めていますが、実際には、各学校の校長の決定に任されていて、その通りにいかない学校もあるそうです。しかし、#MeToo運動以降は、性的同意に関する授業を依頼する学校が急増したそうです。
びっくりしたのは、中学校や高校でコンドームの自動販売機があったり、もし必要な場合にはアフターピルを保健室でもらうことができる。それも、親バレしないように極秘でということです。この辺りは「私の身体は私のもの」という意識は徹底していて、未成年者と言えども自分の身体のことを親に詮索されずにすむというネットワークが出来上がっていることです。中絶手術も、親に知らされることなしに、担任教師や保健室の先生が保証人としてすることもできます。私が学生だった時と比べて、とても羨ましく思いました。
――本書は話題になっていますが、どんな方々に勧めたいですか?
プラド夏樹:やはり性教育の章、日仏の性、セックス事情の比較をした章への反響が大きいようです。
もちろんさまざまな方に読んでほしいですが、特に、お子さんをお持ちの方、教育関係の方々、#MeTooのもう一つの在り方に興味がある方たちに読んでいただけたら嬉しいです。
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