2024年12月10日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月24日

 米台のFTAは、実現すれば、経済的にも戦略的にも大きな価値があることは言うまでもない。カーネギー国際平和基金シニア・フェローのテリスは、そうした観点からから米台FTAを推進すべしとする論説を、12月2日付でウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿している。論説の主要点は次の通り。

(@Rafael Hernandez/yanjf/Pinkypills/iStock)

・台湾はグローバル貿易の、とりわけ通信技術、化学薬品、輸送機器といった戦略的に重要な部門において、並外れた役割を果たしている。

・台湾は、技術的な優秀さに加え、戦略的に孤立していることで、とりわけ魅力的な貿易パートナーとなっている。台湾は、他のアジアの途上国と異なり、米国への特恵アクセスを求めず、米国への安定的な商業的アクセスを望んでいるだけである。

・米台FTAは、米国と同盟国のサプライチェーンを安全に保つ助けにもなり得る。グローバリゼーションの結果、先進的な防衛システムに不可欠な、高度な電子部品の生産の多くが、日本、韓国、台湾などから中国に移転したが、米台FTAは、アジアのサプライチェーンの脱中国的な再編を加速し、米国と東アジアにおけるその同盟国を脅す中国の能力を低下させる。

・米台FTAは、中国が台湾の国際的代表権と他国との外交関係を拒否する努力を強めている時にあって、米台の連帯を示すことになる。

参考:Ashley J. Tellis,‘Sign a Free-Trade Deal With Taiwan’(Wall Street Journal, December 12, 2018)
https://www.wsj.com/articles/sign-a-free-trade-deal-with-taiwan-1543786364


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