2022年12月10日(土)

食卓が変わる日

2019年1月9日

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原因はIgG抗体が腸内で炎症を起こすこと

 藁をもつかむ思いで受診したのは、銀座上符メディカルクリニックだ。

 院長の上符正志先生の説明によると、即時型フードアレルギーは食べた後6時間から24時間後に炎症反応が出るのだそうだ。遅延型フードアレルギーは症状が出るのが遅い分、どの食品によって発症するのか特定しにくいため、気づかずに食べ続けることによって慢性的な炎症となり、便秘や下痢、集中力不足、だるさ、頻尿、鼻づまり、湿疹、多汗、目の下のくま、むくみ、ドライアイなどの症状を引き起こすことがあるという。

 これが本当なら、恐ろしいことに、私は遅延型フードアレルギーの巣窟だったことになる。だるさ、鼻づまり、多汗など、思い当たることは多い。

 遅延型フードアレルギーをごく簡単に説明すれば、次のようになる。

 食品に含まれるタンパク質は分子が大きいため、そのままでは吸収されず、アミノ酸レベルの小さな分子になるまで分解されて小腸で吸収される。ところが、タンパク質が十分に分解されずに小腸までくると、小腸の免疫細胞はそれを異物(抗原)と認識し、血液中にあるIgG(免疫グロブリン<※1>の一種)がその異物とくっついて「免疫複合体」をつくる。

 本来ならマクロファージと呼ばれる免疫細胞が免疫複合体を処理してしまうのだが、処理の限界を超えると小腸の粘膜で炎症を起こしてしまう。これが体内を循環して、さまざまな症状となって現れる。ただし、IgGそのものは血液中にもっとも多く含まれる免疫グロブリンで、通常は細菌やウイルスから体を守る働きをしている。

 ちなみに、即時型フードアレルギーを引き起こすのはIgEという免疫グロブリンの一種だが、こちらはタンパク質を見つけると、それを排除しようとして肥満細胞という細胞とくっついてヒスタミンを分泌する。このヒスタミンが急激な湿疹や下痢、腹痛などを引き起こす。

※1 免疫グロブリンとは、細菌やウイルスが体のなかに侵入してきたときに、それらと結合して体内から排出しようとする物質。その形状によって5種類がある。

何にでも飛びつく健康オタクは危険かも?

 IgGの免疫複合体は同じ食品を頻繁に食べることでつくられる。例えば、好きなものばかり食べていたり、テレビや雑誌で体にいいと紹介されていたものを毎日食べている、などという場合にアレルギーが出やすいと上符先生はいう。健康オタクは、意外に危険なのかもしれない。

 私の場合、健康オタクではまったくないものの、食事のバランスが非常に悪く、不規則である。これで遅延型フードアレルギー反応がでるのだろうか?

 検査については、なんと日本では実施しておらず、血液を紙片に垂らして吸収させたものをアメリカの検査機関に送って、検査をするのだという。健康保険はきかないため、費用は4~5万円(医療機関によって異なる)、結果が出るまでには4週間ほど必要だそうだ。検査する食品の種類が半端なく、96項目、120項目、219項目の3段階がある。

 健康保険が適用されないのはともかく、日本でも検査くらいしてもいいではないか。そうすれば、もう少し検査代は安くなるはずだ。

 IgG抗体検査について、日本アレルギー学会では、ホームページでその有用性を否定している。「血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである」という。また、食物アレルギーが遅れて症状を出すことは医学的に根拠がないという点を指摘している医師もいる。そうした指摘も踏まえて、検査を受けるかどうかを判断するべきだろう。

 とはいえ、医師からは治療のヒントも与えられず、ステロイドを塗り続けることが正解なのか。私の場合は、アレルギー検査を受けないという選択肢はないと思えた。たとえ本当の原因かどうかはわからなくても、自ら改善にむかって努力できることは希望にもなる。再び、藁にもすがる思いで、さらに清水の舞台から飛び降りる思いで、遅延型フードアレルギー検査を受けることにしたのだった。

  
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