2024年4月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年1月29日

 ポンペオは演説で、オバマについては、中東でISが台頭し、イランの勢力が拡大したのは、米国が過早に撤退したためであり、オバマは中東情勢の判断を誤ったと言っている。オバマの中東からの撤退は、それまでの米国のアフガン、イラクへの過剰介入への反省の面が強く、その意味では歴史的必然であったと言えるが、イラクからの過早な撤退がISの台頭を許したことは事実であり、批判されるのは無理もない。しかし、ポンペオは、2009年のカイロでのオバマの演説の内容に言及し、名指しこそしないが異例の個人攻撃をしている。これはトランプのオバマ批判の執念をそのまま反映したものと言える。

 ポンペオは、米国はオバマの中東政策の失敗から、米国が撤退すれば混乱が生じる、友邦をおろそかにすれば怒りを生じる、米国はテロとの戦いが終わるまで撤退しない、ということを学んだ、と述べている。しかし、トランプのシリアからの撤退の決定は、オバマの教訓を学ばなかったことを示している。

 この演説は、中東政策演説ということになっているが、その中心はイランの封じ込めである。上記要旨では割愛したが、イランと対決しているサウジなど一部の湾岸諸国やイスラエルとの関係を重視する、としている。イランとの対決政策の手段としては制裁と外交努力を挙げているが、それ以上いかにイランを封じ込めるかの具体策は示していない。

 中東政策はイランの封じ込めだけではない。中東での存在感を増しているロシアにどう対処するか、一筋縄ではいかないトルコとどう向き合うかも、米国にとって重要な中東政策であるが、ポンペオは触れていない。

 ポンぺオは、米国は中東のためになる勢力であると見得を切ったが、サウジ、イスラエルなどごく一部の国以外にとっては、説得力に欠けるだろう。ポンぺオ自身は、2009年のオバマ演説に匹敵する重要演説と自負しているようだが、中身が薄く、説得力に乏しい演説である。
 

  
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