年々減り続ける「日本語族」
ソファに座りNHKニュースを眺めている曾文恵のとなりで李登輝が届いたばかりの『文藝春秋』を読んでいる。まぎれもなく二人とも台湾人である。しかし、この夫妻のような、台湾に残る「日本語族」は高齢化により年々減り続けており、いつかは神話となるだろう。
しかし、これほどまでに李登輝や曾文恵が日本の精神や教養、価値観を現在まで持ち続け、さらに評価してくれていることを私たちはもっと注目すべきだろう。李登輝夫妻のみならず、日本時代を経験した多くの台湾人も同様の評価を口にしている。もちろん、日本による台湾統治が良いことづくめであったと言うことはできない。台湾人に対する差別もあったし、職業選択の自由がないことも事実だ。
しかし、歴史には必ず光と陰が存在するように、台湾の人々はプラスの面とマイナスの面を比較衡量しつつ、「悪いことももちろんあったが、でも良いことのほうが多かった」と公平な評価を下してくれているのではあるまいか。
近視眼的な見方で「台湾を植民地化し、台湾人に日本教育を強要した」と断罪するのはたやすい。しかし、李登輝や曾文恵のように「日本の教育、文化、精神は素晴らしい」と評価してくれる人たちの声にもう一度、私たち日本人は耳を傾けるべきではなかろうか。
早川友久(李登輝 元台湾総統 秘書)
1977年栃木県足利市生まれで現在、台湾台北市在住。早稲田大学人間科学部卒業。大学卒業後は、金美齢事務所の秘書として活動。その後、台湾大学法律系(法学部)へ留学。台湾大学在学中に3度の李登輝訪日団スタッフを務めるなどして、メディア対応や撮影スタッフとして、李登輝チームの一員として活動。2012年より李登輝より指名を受け、李登輝総統事務所の秘書として働く。
1977年栃木県足利市生まれで現在、台湾台北市在住。早稲田大学人間科学部卒業。大学卒業後は、金美齢事務所の秘書として活動。その後、台湾大学法律系(法学部)へ留学。台湾大学在学中に3度の李登輝訪日団スタッフを務めるなどして、メディア対応や撮影スタッフとして、李登輝チームの一員として活動。2012年より李登輝より指名を受け、李登輝総統事務所の秘書として働く。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。