2023年2月7日(火)

WEDGE REPORT

2019年2月16日

»著者プロフィール
閉じる

樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

サウジ・コネクション

 サウジアラビアとAMIとの関係もこの問題を考えるうえでの重要な要素だ。

 AMIは昨年4月、97ページにのぼるサウジ特集を組んだ雑誌を発行、同国との親密な関係を誇示した。ベゾス氏によると、AMIはサウジのためにさまざまなビジネス、活動を展開しており、そのことは当局も把握、調査しているという。 

 昨年10月、サウジのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で虐殺された事件は世界を震撼させたが、カショギ氏はポストのコラムニストとして同紙にたびたび寄稿、サウジの人権弾圧などを攻撃していた。カショギ氏殺害後、ポストのサウジ非難がいっそう強まったが、これらサウジをめぐる一連の動きも、AMIがポスト紙を嫌悪する理由のひとつになったようだ。

ホワイトハウスは関与を否定

 トランプ大統領の〝ワシントン・ポスト嫌い〟にも激しいものがある。リベラルな報道姿勢のポストはしばしばトランプ批判を展開。大統領も「アマゾン・ワシントン・ポストの私への反応は常軌を逸している」「(アマゾンの)高価なロビイストに過ぎない」などと罵倒。2016年の大統領選挙では、ポストの記者証を取り消し、取材拒否をしたことがある。

 こうした3者の関係を考えた場合、想像されるのは、AMIがトランプ氏の意を迎えることを目的に、大統領が嫌い、自らとも対立するベゾス氏を脅迫したということだろう。

 ホワイトハウスの報道官は「大統領がベゾス氏の主張を知っているかどうかは承知していない。氏とタブロイド紙の応酬に立ち入るつもりはない」ととぼけたコメントをしているが、政権がこの問題に関与していたことを示す証拠はない。

 「誠実な交渉」などと弁明しているAMIの真意がどうあれ、事実とすれば、絶対に許されない。メディアとしての存続も不可能になるだろう。AMIは「徹底した調査」といっているのだから、一片の良心、反省の気持があるなら、誠実、真摯にこれを実行してほしい。

大統領は疑念の払拭を

 トランプ大統領はいま、ロシア・ゲート疑惑という問題を抱え、苦しい状況に追い込まれている。AM)Iによる恐喝事件は、今後もメディアを賑わすかもしれず、無関係ならば、ひいきの引き倒し、むしろ迷惑千万かもしれない。マイナスにこそなれ、プラスになることは決してない。大統領もこの際、AMIとの関係はもちろん、他の疑惑についてもはっきりと説明、内外の疑惑を払拭しなければならないだろう。むしろ、そのためのいいチャンスではないか。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る