日立は「made in Japan」のビジュアル化で、ブランドイメージを狙う
日立は日本では、家電メーカーとして名が通っていますが、海外では幾つもある日本メーカーの1つでしかありません。そんな中、中国市場で強固なブランドイメージを確立をするために日立が取ったのは、「made in Japan」の品質を、目に見える形で提示する手法です。
似た手法は今までにも例があります。自動車でいうと、ジウジアーロデザインのいすゞ『ピアッツァ』、バイクでいうとハンス・ムートンデザインのスズキの『KATANA』ですね。この両社、品質は良いのですが、デザイン主張性が弱い。メーカーイメージが弱いのです。それの強化策として、社外の有名デザイナーを採用するわけです。スズキの「KATANA」は、今でも大人気のデザインで、スズキのバイクの代名詞にもなっています。
今回、デザインを依頼されたのは、深澤直人氏。超売れっ子のデザイナーです。昨年発表されたAQUAの冷蔵庫も良かったですが、この空気清浄機のデザインも、実にインパクトがあるものでした。
モデルEP-PF120C / 90Cのデザインは実に魅力的です。大人しい佇まいながら、正確に並ぶスリットがまず第一の魅力です。障子にも通じる幾何学的な規則性が何とも言えません。やや厚手に成形されているために、安手の家電にありがちなペラペラさがありません。
そして部屋隅角に置かれることを前提とした切り落とし。あるべくしてあるデザインで、非常に気持ちがいいです。中には、部屋の真ん中において下さいなどと言うメーカーもありますが、部屋は人が使うものであって、家電に占拠されるためにはありません。実は部屋の四隅に空気清浄機を置くのは実に有効です。部屋全体換気する時のライン上です。しかも自然後ろにスペースができますからね。しかも昔のようにテレビが鎮座ましますということもなくなりました。
またコンソールの「字」も非常にキレイです。空気清浄機は黒子であるべき家電なのですが、その中でもこれほど高品質、優れた工業製品である「made in Japan」を感じさせるデザインもあまりありません。
ありそうでない個性。日本メーカーでその様なデザインを出したのは、過去のソニーですが、それが高じてそのメーカー製品への憧れ。中国でも支持されるメーカー、ブランドとなるわけです。メーカーがユーザーに問うのは「製品」。優れた経営者ではありません。創業者がいる間、そのメーカーが強いのは、「作りたいモノ=製品」を、トップが完全に把握しているからです。ダイソンなどがぶれない理由が分かりますね。
EP-PF120C / 90Cには、それほどの明確さ、高品質が製品から見て取れます。