2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2019年4月20日

 ここ数年、東京駅前の大手町などを歩いていると、まだそれほど古くないのになと思えるオフィスビルでもいつの間にか壊されて新しいビルに生まれ代わっているということが多い。ビルを壊したコンクリートはどこに行くんだろう? と不思議に思っていると、業界関係者からアスファルトを流す前の道路の下地に使われると教えてもらったことがある。

(NU sniper/gettyimages)

 オフィスビルが壊されると同時、各種オフィス家具なども大量に廃棄されることが少なくない。そんな光景に心を痛めていたのが、創業116年の歴史を持つ東港金属(東京都大田区)の福田隆社長だ。

 「金属スクラップ、リサイクル、廃棄物処理を仕事としているので、新しい商材がはいってくるという意味合いもあるのですが、一方でまだまだ使える物もあって、やはりもったいないと。世の中的にも、資源再生の動きが進んで、リサイクル率も高まっています。でも、まだ使える物をリサイクルすること自体は無駄無駄です。そういうときに、『メルカリ』さんが勃興しているのを見て、我々の業界でも何かできなかと思った次第です」

スマホで操作できるReSACOのアプリ

 そこで福田さんは、企業間に特化した形で、リユース、リサイクル、廃棄までのマッチングを行うポータルサイトを作ることを思い立った。「不要になった中古品をウェブ上でマッチング」(フリマ、コンペ)や、「買い手のつかない中古品を資源として買い取る」(クイック=業者買取)というものだ。その名も「ReSACO(リサコ)」。

 今年2月のサービス開始に先立って、昨年5月にサイトを運営するトライシクル社(東京都品川区)も新たに立ち上げた。これまでB to Bでのこうしたマッチングはなかった。というのも、個人の場合は、金額も大きくなく、返品も比較的容易だが、企業間だと品質に間違いがないかは重要であり、物を一度動かすだけでも大きな費用がかかる。

 使い方も簡単だ。「ReSACO(リサコ)」のスマホアプリで写真を撮る。そうすると、AIが自動的に出品物の参考価格を算出してくれる。不用品の市場価格をいちいち調べるのは面倒だが、この仕組みがあればそうした手間の省くことができる。リサコの利用者も徐々に増えており「反応はいいと思います」と、福田さんは、手ごたえを感じている。

 今後の展開としては、一時保管のサービスを始める準備を進めている。富津にある、もともと自動車メーカーの用地だった場所を買い取り、首都圏を中心に各種中古品などをストックする。大きな物になればそれを補完するだけでもコストがかかるので、企業としては1日でも早く手放したいというニーズがあり、それに応えた格好だ。


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