2024年11月22日(金)

患者もつくる 医療の未来

2012年2月6日

 しかし、被害者団体の長年にわたる厚生労働省との交渉によって、ようやく10年度から、添付文書の改訂によって、子宮収縮薬の使用時にはその必要性や危険性を妊婦に十分説明し、同意を得なければならないことが義務付けられた。さらに、母子健康手帳にも出産時に使用される薬の注意書きが記載されたホームページアドレスが掲載されるようになった。また、再発防止の報告書は日本医療機能評価機構のホームページで誰でも全文を読むことができる。

 子宮収縮薬による事故をなくすために、妊婦やその家族が知っておくべきことは次の2点である。まず、妊婦は、子宮収縮薬を使用するかどうかを尋ね、使用する場合には、必要性や危険性についての説明をきちんと受けることだ。そして、子宮収縮薬を使用する場合には、少量から投与するために精密持続点滴装置の使用が必要であり、異常を早期に発見するための分娩監視装置を装着することが不可欠であることを知っておく必要がある。

 初めて、事故の原因分析を健全に行った専門家たちの功績は大きい。これまでは、事故の再発防止を願う被害者たちを疎ましく批判する産科医も多かった。しかし、問題の本質は、被害者ではなく、ガイドラインを守っていないところで事故が起こっているという事実だ。このことは、専門家たちが作ったガイドラインを守っていれば事故が起こりにくい、ということの証明でもある。

 事故の情報を共有することで、防げるはずの事故を防ぎ、生命誕生の素晴らしい瞬間をみんなが共有できることを願っている。

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