2024年11月23日(土)

Wedge REPORT

2012年2月21日

 漁業補償額をどのように算定したのか、補償金を支払った自治体に情報開示請求をするとどうなるのか。

 岡山県が02年度および03年度に県内を流れる吉井川の河口で実施した浚渫工事の際に地元の漁協に支払われた漁業補償をめぐって、その算出根拠となった補償額算定調書や漁業補償契約書などの文書を開示するよう「市民オンブズマンおかやま」が県に請求した。ところが、このグループの重田龍三氏によると、県は「相手方との信頼関係が損なわれ、今後の補償交渉や事前調査に協力を得ることが難しくなる」、「(開示すると)今後の補償交渉が難航し、補償業務の円滑な実施ができなくなる」などを理由に挙げて非開示とする決定をしたという。重田氏は、「公開すると、『岡山県はあのときの漁業補償これだけの額を出したのだから、もっと出せ』と他の交渉で取引材料に使われるのを嫌ったからでしょう」と推測する。

 補償額の算定根拠を示した文書を開示しようとしないのは、岡山県だけではない。全国の自治体は軒並みこれらの情報を公開することに消極的だ。

漁業補償を支払うのが、国や自治体、あるいは電力会社だったとしても、補償金の原資は、言うまでもなく税金であり電力料金だ。いつまでもこんな不透明な形で補償額が決められて良いのだろうか。

WEDGE3月号第二特集「こんなに儲かる漁業補償」では、こちらの第1部の記事の他にも
以下の記事が読めます。
◎きっかけは東京湾 伊勢湾は750億円
◎カネのために掲げた“反原発”
◎洋上風力も狙われる?

■変更履歴
2ページ目「将来にわたって漁業ができなくことに対する補償で、~」とあったのは、正しくは「将来にわたって漁業ができなくなることに対する補償で、~」でした。お詫びして訂正します。該当箇所は修正済みです。[2012/2/22 9:46]

 

◆WEDGE2012年3月号より


 




「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る