2024年4月20日(土)

From LA

2019年9月5日

自動運転時のオーナー免責事項

 今後の自動運転が普及した時の自動車保険のスタンダードとなりそうなのが、自動運転時のオーナー免責事項だ。自動運転車両が事故を起こした時、責任は誰にあるのか、というのは以前から議論されていた点だ。テスラは自動運転時に事故が起きた場合の傷害、物損についてテスラ側が保証する、と明記している。

 さらに、人々が懸念する、サイバー犯罪の被害にあった時、つまりテスラのシステムがハッキングされID盗難などが起きた場合に、最高で1万5000ドルが保証される。そしてテスラオーナーは自宅用のチャージャーシステムも購入するが、このチャージャーの修理も最高で3000ドルまで保証される。

 保険は今後全米、そして海外市場にも提供される予定だが、そのスケジュールなどは明らかにされていない。しかしテスラ・インシュアランスが実施されれば他の保険会社にとっては大きな脅威となる。テスラはこれまでオートパイロットを通して顧客のテータを集積している。保険会社は保険料算定のために様々なアルゴリズムを用いているが、最も重要な要素がこのデータだ。テスラが独自のデータから「一般的な自動車保険よりも安い」価格を提供できる、となれば保険会社にとっては大きなプレッシャーとなる。

 また今後自動運転車両の市販が始まった場合、今回のテスラによる保険料の定義が業界スタンダードとなる可能性もある。自動運転は人が運転するよりもはるかに安全である、というテスラの主張を反映した保険料割引は正しいのか、今後証明されることになるだろう。自動車保険を取り巻く環境を一気に変える可能性もある、大きな一歩になる、との期待も大きい。

  
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