2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年9月20日

右からハリス氏、ウォーレン氏、バイデン氏、サンダース氏(UPI/AFLO)

 今回のテーマは「トランプの対戦相手は誰か?」です。3回目の米民主党大統領候補のテレビ討論会が9月12日、南部テキサス州ヒューストンで開催されました。今回の討論会では、一定の条件を満たした10人の候補が激しい論戦を繰り広げました。

 本稿では、テレビ討論会後に実施した世論調査結果を交えながら、民主党大統領候補指名争いについて述べます。

「トップスリー」の関係

 今回の民主党大統領候補テレビ討論会終了後に行った米NBCニュースと米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査(2019年9月13-16日実施)によれば、ジョー・バイデン前副大統領の支持率は31%、エリザベス・ウォーレン上院議員(東部マサチューセッツ州)は25%、バーニー・サンダース上院議員は14%です。他の候補の支持率は10%以下です。従って、上の3候補が「トップスリー」になります。

 ただ、支持する候補が指名争いの途中で撤退した場合、2番目にどの候補を選択するのかという同世論調査の質問に対して、21%がウォーレン上院議員、16%がサンダース上院議員と回答しています。支持率で首位を走るバイデン前副大統領は11%で4位に落ちます。

 ということは、仮にサンダース上院議員が指名争いから撤退した場合、同議員の支持者はバイデン氏ではなく、ウォーレン上院議員の支持に回る可能性が高いといえます。極左のウォーレン・サンダース両上院議員の支持者は、「互換性」があるからです。

 一方、ピート・ブディジェッジサウスベンド市長(中西部インディアナ州)、エイミー・クロブチャー上院議員(中西部ミネソタ州)及びベト・オルーク元下院議員の支持者は中道穏健派のバイデン副大統領に投票するかもしれません。

 上で紹介した米NBCニュースと米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同世論調査結果に基づいて、ウォーレン・サンダース両上院議員の支持率に、同じ左派のハリス上院議員(西部カリフォルニア州)の支持率を加えると、44%になります。他方、バイデン前副大統領の支持率にブディジェッジ市長、クロブチャー上院議員並びにオルーク元下院議員の支持率を足すと41%になります。もしバイデン前副大統領とウォーレン上院議員の一騎打ちになった場合、他の民主党候補の支持者獲得が鍵を握ります。

ハリス失速の理由

 1回目のテレビ討論会で注目を集めたハリス上院議員は失速しています。米CBSテレビが実施した世論調査の分析によると、ハリス氏の支持者がウォーレン支持に回っています。

 加えて、ハリス上院議員はアフリカ系米国人の支持獲得に苦戦を強いられています。3回目のテレビ討論会で、同議員がオバマ前大統領の医療保険制度改革(通称オバマケア)を称賛したのは、バイデン氏からアフリカ系米国人の支持を獲得する狙いがあったことは明らかです。

 ハリス上院議員は自身をアフリカ系米国人であると語っていますが、同系米国人のバイデン派支持層を切り崩すことができません。8年間副大統領としてバラク・オバマ前大統領をサポートしたバイデン氏に対するアフリカ系米国人の信頼が厚いのでしょう。

 ただハリス上院議員はテレビ討論の冒頭、ドナルド・トランプ米大統領を標的にして議論し、一定の評価を得ました。現段階では支持率で4位ないし5位です。しかしこれまで述べてきたように、仮にバイデン氏が指名争いを勝ち抜いた場合、非白人女性のハリス氏は副大統領候補に名前が挙がるでしょう。


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