そこから早稲田大学に向かって歩くと、「実の里(みのり)」がある。こちらはカチンの料理の店。
トーフー・ジョーという豆腐の揚げ物。表面はぱりっとしているが、口に入れるととろける。大豆ではなく、ひよこ豆で豆腐を作るということだが、新しい食感が心地よい。
同じひよこ豆を使ったもので、トーフー・カウスエという麺も面白い。とろとろの豆腐が麺にまとわりつく。ミャンマーのオンノカウスエ、あるいはチャンマイあたりのカオソイと呼ぶカレー麺をご存じであれば、そのお仲間だと知れるはずだが、知っている身にも新鮮な味わい。
カチン・ヒン=挽肉のおかずとメニューに説明のある一品は、東北タイやラオスのラープという料理を思い出すし、ガーチャウチンサットウ=干し魚とタマネギのサラダも東南アジアのどこかで食べたような味。
食べながら、ミャンマーやタイ、ラオス、あるいは中国の雲南などさまざまな地で食べたものが思い浮かび、文化の錯綜と広がりに想いが至る。アジアの食の地図が描ける。
ご存じない地域の食があれば、お店を探して、食べに行かれたらよろしい。今の東京には、ほとんどある。東京でアジアの食の旅。それが可能であることの楽しさ。
それにしても、何故、高田馬場はミャンマーなのか。ほど近い私鉄沿線にかつてミャンマー仏教の施設があり、僧侶がいた。その近くに留学生や難民等々が集い、コミュニティーが出来た。それが高田馬場(と中板橋)に移り、現在に至るという。
実の里の主、マリップ・センブさんは難民としてやって来て、今はさまざまな支援活動もしている。ノング・インレイの主人は30年以上前に来日して、今は日本国籍の山田泰正さんである。
如何です? 東京で、アジアの現代史と文化を食から実感するという食べ歩きは。
■ノング・インレイ
山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線高田馬場駅下車すぐ
東京都新宿区高田馬場2─19─7 タックイレブン高田馬場ビル1F
☎03(5273)5774
営業時間/11時30分~23時30分
■スカイ・ホーム
タックイレブン高田馬場ビル8F
☎03(5272)5103
■アジア料理 実の里
高田馬場駅から徒歩約10分
東京都新宿区西早稲田2─18─25 横川ビル1F
☎03(6380)3644
営業時間/11時30分~15時、17時~23時(日曜はランチ営業のみ)
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