避けられない破壊
イノベーションが起こす「破壊」。まさにこれは、歴史的に繰り返されてきたことだ。例えば、蒸気機関の登場によって325万頭の馬が失業したと言われている。これから自動運転が実用化すれば、例えば、タクシートラック運転手の多くが職を失うことになるかもしれない。
特にラディカルなイノベーションが新規参入企業から生まれやすいのも、市場を支配している企業に対して、リスクをとってあえて破壊的な手段で挑むからである。
これまで日本の人や企業は流動性が低い状況を保つことができたが、これからは好むと好まざるを得ず、「流動性が高まることを覚悟しなければならない」と、清水さんは警告する。国や社会として、「破壊」から生じる負の側面に備える必要はある。
本書で清水さんが最も訴えたかったのは「流動性が高まっていくのだからこそ、自分の頭で考え、チャレンジしてみること」だという。チャレンジするための障壁はどんどん下がっている。皆と同じ方向に何も考えずに流されていくと、一気に破壊されるかもしれない。イノベーションの野生化に備えて、いま何をすべきなのか考えなければならない時を迎えている。
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