滞納された税金回収に
四苦八苦する地元町役場
湯沢町は予算約71億円(18年度)のうち40%に相当する28億3000万円を固定資産税に依存し、そのうちリゾートマンション分は約3割だが、徴収対象となる人数は数千人にもなる。
1990年代以降はマンション価格が急落したため、固定資産税を払えない所有者が続出、それに伴い固定資産税の滞納が雪だるま式に膨れ上がった。所有者の多くが同町以外の関東地区在住が多いことから、約20年前に東京都内に町役場の出張所を開設、主に固定資産税の滞納者への督促・回収作業に当たっている。
同町税務課によると「マンションの所有者が行方不明になったりして固定資産税の滞納額が膨らみ、回収に追われている。10年前は滞納額が20億円にも増加したが、回収努力をした結果、今は9億円にまで減ってはいる」と苦しい事情を話す。
滞納が長期化した場合などは、同町がマンション資産を差し押さえ、処分して町の収入にすることもある。しかし、一筋縄でいかないことが多い。資産を差し押さえてみても、抵当権が付いていたりすると、町が売却しようとしても優先順位が低いために期待したほどの収入にならないケースもあるという。
また、最近は親が所有していたマンションを子供が相続せずに放棄することが多くなっている。そうなると、マンションの固定資産税を誰に払ってもらうのか特定するために戸籍を細かく調べなければならず、事務手続きが煩雑になるという。
固定資産税額は、リゾートマンションが華やかだったころと比べて、現在でもそれほど下がっていない。税額は各自治体により決められるが、マンション価格の暴落に見合うほど下がっていないことについて、住民から強い不満がある。これについて同町税務課は「総務省の算定基準により税額を決めている。下がってはいるが、住民が思うほどではないのかもしれない」と説明する。
滞納になっている固定資産税の回収は、税収の少ない同町にとって死活問題であることは確かで、差し押さえ、裁判などあらゆる手段を駆使して回収作業に奔走している。
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砂原庸介、中川雅之、中西 享、編集部
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