2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2020年1月8日

成功したイクシス・プロジェクト

 LNGの調達では、国策石油会社の国際石油開発帝石(INPEX)が日本で初めてのメインオペレーターとなってオーストラリア西北部のイクシスで開発を進めている。これまでメインオペレーターはシェルやシェブロンなど欧米の大手石油会社が独占してきたが、INPEXはやっとその一角を崩すことができた。

イクシス(INPEX提供)

 そのイクシス・プロジェクトが2018年の10月から本格的に供給を開始、年間890万トンのLNGが輸出されている。このうちの約7割の約600万トンが日本向けだ。具体的には、東京ガス、大阪ガス、関西電力などに供給され、日本の年間LNG消費量の約1割に相当する。同社は数年後にはインドネシアからの輸出も予定しており、LNGの供給先の多様化に貢献している。

 豪州、インドネシアからのLNGの日本向け供給は、中東のホルムズ海峡、マレー半島とインドネシアのスマトラ島に挟まれたマラッカ海峡といった狭小な航路を通過しなくてよいため、テロや海賊の出没もほとんどなく海上運搬リスクも少ない。

 豪州からの供給が大きく伸びたため、昨年はカタールを抜いて世界最大の輸出国になりそうだ。今後は豪州、カタールに続いて、米国、ロシアがLNGの液化設備を増やす見通しで、4カ国とも数年後には年間1億トン前後のLNGの液化生産能力を持つことになる。日本と豪州との経済関係も良好のため、日本がLNG権益を持つことに対する反発もないようで、両国間の関係強化になる。

 INPEXは豪州、インドネシアの資源開発を担うことで、2040年には世界10大石油会社の仲間入りを目指している。石油やLNGの資源開発では欧米に遅れを取っていた日本だが、INPEXの開発、生産が軌道に乗ったことは日本のエネルギー資源の安定的な確保にとって大きな前進につながる。


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